2012/04/28
ぽかぽか春庭十二単日記>シニアデビュー(4)モーゼスおばあさんの絵
4月26日、アンリ・ル・シダネル展を見に新宿損保ビルの東郷美術館へ行きました。招待券もらったので、それほどみる気もなく見たシダネルの絵、日本ではあまり知られていない画家ですが、とてもよかったので、またまた図録を買ってしまいました。シダネル展の報告は、またのちほど。
会場の出口にある一室は、館所蔵品の常設展示の部屋。一番有名なのは、ゴッホのひまわり。この絵をめざして損保ビル9階にやってくる人も多い。
15本のひまわり
そのほか、新収蔵作品として、モーリス・ドニの絵もあったし、グランマ・モーゼス( Anna Mary Robertson Moses1860 - 1961)の毛糸刺繍画と素朴な風景画が展示してありました。
モーゼスおばあさんの絵は、1969年にアメリカの切手の図柄になり、アメリカ人が一番よく知っている画家と言われています。ゴッホやピカソを知らなくても、モーゼスおばあさんの絵は知っている。どうして画家名が「グランマ・モーゼス」かというと、絵を描き出したとき、すでにおばあさんだったからです。
12歳で奉公に出され、27歳で結婚したあとも農作業と子育てに明け暮れる生活。70歳で夫と死別し、早死にした娘に代わって孫を育てるなか、毛糸を使った刺繍画を始めました。リュウマチで手が動かなくなり、刺繍する毛糸の針が持てなくなったので、編み針よりは太い絵筆を握り、リハビリに励みました。おばあさん、75歳からようやく本格的に描き出したのです。
グランマ・モーゼスのスケッチ姿
80歳で初めての個展。81歳で州の絵画展で注目されます。「素朴派」とまとめられたり、アメリカンプリミティブ・アートとくくられたり。デュビュッフェが提唱した「アール・ブリュット(生の芸術)=芸術的訓練や芸術家として受け入れた知識に汚されていない、古典芸術や流行のパターンを借りるのでない、創造性の源泉からほとばしる真に自発的な表現」とも関連づけられて日本で紹介されてきた人気の高い画家です。
モーゼスおばあさんは、1961年に101歳で大往生。亡くなるまでに千点もの絵画を残しました。
自伝と作品をおさめたモーゼスの著書「モーゼスおばあさんの絵の世界」
東郷美術館所蔵のモーゼス作品は22点あるそうですが、26日に見たときは3点だけの展示でした。でも、その他のモーゼス作品の絵はがきを売っていました。
今回のテーマ「シニア・デビュー」です。
75歳で絵筆を持ち、101歳まで描き続けたモーゼスおばあさん、究極のシニア・デビューですね。オーストラリアのアボリジニー画家エミリー・ウングワレー(Emily Kame Kngwarreye、1910年頃-1996)も絵筆を持ったのは70歳を過ぎてから。86歳で亡くなるまでの8年間で、3000点の作品を残しました。
70歳をすぎてから何かをはじめても、そうよ、100歳まで生きれば、まとまった作品になる。詩でも絵でも小説でも。
がんばりましょう。
<つづく>
ぽかぽか春庭十二単日記>シニアデビュー(4)モーゼスおばあさんの絵
4月26日、アンリ・ル・シダネル展を見に新宿損保ビルの東郷美術館へ行きました。招待券もらったので、それほどみる気もなく見たシダネルの絵、日本ではあまり知られていない画家ですが、とてもよかったので、またまた図録を買ってしまいました。シダネル展の報告は、またのちほど。
会場の出口にある一室は、館所蔵品の常設展示の部屋。一番有名なのは、ゴッホのひまわり。この絵をめざして損保ビル9階にやってくる人も多い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/f5/818141087d80896c35db60ed948b73d2.jpg)
そのほか、新収蔵作品として、モーリス・ドニの絵もあったし、グランマ・モーゼス( Anna Mary Robertson Moses1860 - 1961)の毛糸刺繍画と素朴な風景画が展示してありました。
モーゼスおばあさんの絵は、1969年にアメリカの切手の図柄になり、アメリカ人が一番よく知っている画家と言われています。ゴッホやピカソを知らなくても、モーゼスおばあさんの絵は知っている。どうして画家名が「グランマ・モーゼス」かというと、絵を描き出したとき、すでにおばあさんだったからです。
12歳で奉公に出され、27歳で結婚したあとも農作業と子育てに明け暮れる生活。70歳で夫と死別し、早死にした娘に代わって孫を育てるなか、毛糸を使った刺繍画を始めました。リュウマチで手が動かなくなり、刺繍する毛糸の針が持てなくなったので、編み針よりは太い絵筆を握り、リハビリに励みました。おばあさん、75歳からようやく本格的に描き出したのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/3d/d65bd87ed1ea48dd3a5c72e3d2e0d054.jpg)
80歳で初めての個展。81歳で州の絵画展で注目されます。「素朴派」とまとめられたり、アメリカンプリミティブ・アートとくくられたり。デュビュッフェが提唱した「アール・ブリュット(生の芸術)=芸術的訓練や芸術家として受け入れた知識に汚されていない、古典芸術や流行のパターンを借りるのでない、創造性の源泉からほとばしる真に自発的な表現」とも関連づけられて日本で紹介されてきた人気の高い画家です。
モーゼスおばあさんは、1961年に101歳で大往生。亡くなるまでに千点もの絵画を残しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/38/2867380ab38f0b0158fa392a67d1133c.jpg)
東郷美術館所蔵のモーゼス作品は22点あるそうですが、26日に見たときは3点だけの展示でした。でも、その他のモーゼス作品の絵はがきを売っていました。
今回のテーマ「シニア・デビュー」です。
75歳で絵筆を持ち、101歳まで描き続けたモーゼスおばあさん、究極のシニア・デビューですね。オーストラリアのアボリジニー画家エミリー・ウングワレー(Emily Kame Kngwarreye、1910年頃-1996)も絵筆を持ったのは70歳を過ぎてから。86歳で亡くなるまでの8年間で、3000点の作品を残しました。
70歳をすぎてから何かをはじめても、そうよ、100歳まで生きれば、まとまった作品になる。詩でも絵でも小説でも。
がんばりましょう。
<つづく>