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ぽかぽか春庭「いたち&マックデビュー」

2012-04-24 08:00:00 | エッセイ、コラム

2012/04/24
ぽかぽか春庭十二単日記>シニアデビュー(1)いたち&マックデビュー

 4月18日、下北沢に行ってきました。友人K子さんデビューの演劇公演を見るためです。
 下北沢駅前のマックで待ち合わせ。ジャズダンス仲間4人で、まずはちょこっと「腹の虫おさえ」
 4人のうち、一人は高校講師を定年退職したトモ子さん、ひとりは小学校校長を退職後も教育関係の仕事を非常勤で続けているテイ子さん、ひとりは70歳まで仕事を続けざるを得ない私(夫が赤字会社経営者&子どもがパラサイトシングルのため)、そして65歳までは今の会社で働くというミサイルママ。(テイ子さん、元校長という職歴をサークル仲間に語ったこと無かったんですが、そこは検索上手の私、最後の職場の小学校名をつきとめました)。

 最年長の元校長テイコさんは、「私、マクドナルドでものを食べるの、初めて」というので、「あらまあ、エエトコのオクサマは、今までジャンクフードを食べたこと無かったのね」とびっくり。教育職を長く務めたてい子さんと研究者のご主人。美男美女カップルと聞くお二人。夫婦で外食することはあっても、マックなどで食べることはなかった、という。

 そんな「教育ひとすじ」だったテイ子さんの初マックの感想。「想像していたたより美味しかった」これは、マックの味に対する感想というより、「ちょいとおなかを膨らませたいときは、マックで100円ポーク+おかわりコーヒー」という私への、心づかいかも。「こんなジャンクフード食べ続けると健康に悪い」なんて言ったら悪いものね。

 「私なんて、スタバのコーヒーは高いと感じて、映画までの待ち時間とか電車待ちで店入るときはいつもマックの140円、おかわりもう一杯、ばっかりだったよ」と私。マックコーヒーは今月からSサイズ一杯100円に値下げするかわり、おかわり自由はなくなるんですって。残念。

 ともあれ、シニア世代にとって、初めての体験というのは、何事であれ、よいことです。私も、これからいろんな「う~、こんなの初めて!」っていうのに挑戦していきたい。
 18日の「う~、こんなの初めて!」体験は、「長年の友人が舞台デビューするのを見届ける」です。

 K子さんとは1970年に知り合って、もう40年以上のおつきあい。国家公務員退職後、「とぼしい年金暮らし」というK子さんだけど、そうは言っても週5日大学を駆け回って働いても超薄給の非常勤講師、とは大違いの余裕ある生活。(マンションローンもととっくに完済したそうですし)
 K子さん、定年退職後のテーマを「演劇」と決め、あちこちの戯曲研究や演出コースの勉強を続けてきて、私たちのジャズダンスサークルで体づくりをして、さて、立ち向かったのは、小さな劇団のシニアワークショップ。
http://www.tokyo-novyi.com/japanese/pg240.html

 発声練習、スタニスラフスキー・システムによる演技指導などの精進を重ね、このたびハレの公演となりました。4月1日に錦糸町でのコンサートでごいっしょしたときには、もう稽古も佳境のさなかで、いろいろ苦労はしつつも楽しそうでした。

 公演は4月14日から19日までの5日間。小劇場のメッカ下北沢の中でも、「東京ノーヴイ・レパートリーシアター」は、客席数26席という極小の小劇場です。5日間の公演でも130人の方しかK子さん初舞台を見ることができない勘定ですが、その中の4人として、ジャズダンスサークル仲間が駆けつけたのです。

 K子さんは、ダンスネーム、ぱらちゃん。体が柔らかくポーズもきれいに決まるのですが、私と同じく振り付けが身体についていかない。私は「先生の振り付けはこうだけれど、私できないからテキトーに動く」というテキトー主義なのですが、パラちゃんは「きちっと動きたい」という方なので、「先生の要求通りに動けない自分」に対してストレスをためてしまいました。それで結局サークルはやめて、別の方向で心身を動かすことにしたのですが、そのひとつがこのシニアワークショップでした。

 ワークショップの仕上げとしての公演。劇作家、真船豊(1902-1977)の最初期の作品『鼬( いたち)』 1935年に発行された戯曲。
 戦前の古い農家を舞台にした人間模様です。
http://www.tokyo-novyi.com/japanese/pg240.html

 K子さんの役は、没落した農家に残された老主人おかじ。息子は南洋へ出稼ぎに出たまま。娘は亭主が入牢し出戻りとなって同居している。旧家ではあってもお金はなく、先祖代々の家屋敷は人手に渡ろうとしている。そんな中、「二度とこの家の敷居をまたぐな」と勘当の身になっていたおかじの亭主の妹おとりが、派手ななりで戻ってくる。さて、家屋敷はどうなってしまうのか、というあら筋で、ひとりひとりの人間性や互いの関係をどう観客に伝え、どう表現するのか、という見所満載で劇が始まりました。

 いっしょに見ていたミサイルママは「パラちゃん、こんなじょうずとは思わなかった」と大感激でした。「最初、舞台にいるのがパラちゃんとは気づかなかった」と言うくらい、役作りは完璧で、頭は白髪にして、声も低く抑え、南洋がえりの息子への思い、勘当されていたおとりへの小姑としての思いなどが、複雑な感情表現となって出ていました。

 シニアワークショップの出演者それぞれ熱演でしたが、ひいき目かもしれませんが、パラちゃんが一番すばらしかった。おかじの大事な鶏小屋を鼬が狙っている。おかじは卵を守ろうとするのですが、、、、、
 「家を守る」という戦前の女性に課せられた価値観と現代とは異なるとはいえ、「自分にとって大切なもの」を守ろうとする老女の心が、熱演によって観客に伝わりました。

 公演が終わって、ご主人が待つ家へ早く帰りたいというテイ子さんと別れ、ミサイルママとサークル会長、私、の3人で和食の店でおそい夕食。「マックで食べたから、そんなにおなかすいていないよね」と、言いながらも、定食セットを残さず食べ終わりました。

 これからもいろんなこと「シニアデビュー」して、60代70代80代、からだ丈夫に心豊かに暮らしていこうと話しました。ミサイルママはダンスと合唱と登山、絵を描くこと。会長はダンスと合唱とご主人とのコンサートや美術館めぐり。テイ子さんは合唱と朗読を続けています。私も、ダンスと散歩(花さんぽ、建物散歩、美術館博物館散歩)のほか、時間に余裕出来たら朗読もやりたいな。そうそう、70代恋愛デビューにも備えておかなくちゃ。

<つづく>
コメント (4)
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