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ぽかぽか春庭「北井一夫の北京'70~'90」

2013-03-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
北井一夫 北京

2013/03/16
ぽかぽか春庭@アート散歩>記憶と記録・写真を見る(3)北井一夫の北京'70~'90

 北井一夫の写真展「いつか見た風景」を正月に東京写真美術館で見ました。
 北井一夫は、1944年、中国・鞍山(あんざん)生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。60年代後半、成田空港建設反対派農民たちの生活を撮影した『三里塚』、70年代の日本の農村の暮らしぶりに迫ったアサヒカメラ連載「村へ」などを発表し、第1回木村伊兵衛写真賞受賞作家となった。『三里塚』や学生闘争の内部からの記録『バリケード』『抵抗』の写真は、同時代を生きた私には、激しかった時代が真に迫ってくる記録です。

三里塚少年行動隊(北井)

 
 北井一夫が最初に中国を撮ったのは、日中友好が回復した直後の1973年。
 日中文化交流協会の活動を続けてきた木村伊兵衛の勧めによって中国へ渡ったのだという。このときの作品は『中国1973』となった。

上海1973(北井)

上海少年宮(北井)
 少年宮というのは、小学生たちが放課後をすごし、スポーツや音楽などを教わる施設ですが、私の印象では「超エリート養成ギプス」のようなもので、「こどもが放課後をのびのび趣味にひたってすごす」という感じではありませんでした。
 このアコーディオンの少女は楽しそうに弾いています。どんな人に成長して中国の今を生きているのでしょうか。

 北井が1990年代の中国を撮影した写真集『中国1990年代』
 私が初めて中国に赴任したのは、1994年のこと。北井一夫が「1990年代北京」を撮影した時代と重なります。
写真集「1990年代北京」


 引用の写真は、ネット内のものをコピーしているので、オリジナルプリントとは白黒の感じが異なります。オリジナルは、光の具合がもっと美しいので、写真展、写真集などで、ぜひ、オリジナルをみて下さい。
北京(北井)

 1990年代の中国。北京で着用している人は少なくなったけれど、地方ではまだ「人民服」を着ている人も多いころでした。
 ものすごい変革へのエネルギーが渦巻いていた中国。小平が口にした中国のコトワザ「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」という「経済成長万能時代」。どんどん豊かになっていくと同時に、おきざりにされていく人が出て空虚もひろがっていくような、あの時代の北京の空気感までも、北井は写し取っていると思います。

 1994年と、北京オリンピックの前年の2007年、オリンピックが終わったあとの2009年、3度の中国赴任は、私にとって「中国変貌の時代」を見ることができた、とても意義深いものでした。
 私も写真は撮ったけれど、94年のときは、デジカメではなかったので、手軽にネットにUPできませんが、2007,2009年の写真をすこしずつUPしようと思っています。

<つづく>
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