
原直久「アジア紀行:北京・胡同-柝」展会場
2013/03/19
ぽかぽか春庭@アート散歩>記憶と記録・写真を見る(5)北京胡同の記憶 原直久の胡同
映画『胡同の理髪師』は、2006年の制作。ちょうど私が2007年に胡同取り壊しの写真をとったのと同じ頃の制作です。日本での公開は2008年。この映画をどの映画館で見たのか、よく覚えていませんが、たぶん、岩波ホール。
92歳の理髪師チン老人。素人の本物の床屋さんで、ドキュメンタリーを撮るようにチンさんと周囲の人々の生活が描かれ、長年住み慣れた胡同が取り壊しになってしまう前のようすを描いています。とてもいい映画でした。
『胡同の理髪師』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=QNLxGwiFdyg
原直久(1946生まれ日大写真学科教授)は、2008年に北京を撮り始めました。
3月8日、原直久作品展「アジア紀行:北京・胡同-柝 Beijing・Hutong-Chai」を見ました。2010年2011年の撮影を中心に写真展示をしています。
田町のフォト・ギャラリー・インターナショナルでの写真展。(3月6日-4月27日)
胡同ということばに惹かれて見に行き、1点1点、ゆっくり見ました。平日の午前中、見ている人は私だけでした。ほかに人がいないのをいいことに、勝手に展示会場内を撮影(冒頭の一枚)。たぶん、展示会場内、撮影禁止なのだろうと思いましたが、文学作品の紹介なら文字だけでよいと思うけれど、写真展の紹介なのに、私の文章力では文字だけでは伝えきれないと思うので、勝手に撮影しました。ごめんなさい。
点数は多くなかったですが、私が見て来て記憶にある胡同の様子が白黒プリントで並んでいました。
作品紹介のA4版のパンフレット、1枚100円で売っていました。

以下の作品紹介は、このパンフレットのコピーです。
原直久の胡同写真(原)

「拆」というマークは、『胡同の理髪師』の中にも出てきましたが、「この家は、近々取り壊しを行う」という印です。家も土地も国家の物である中国では、少ない立ち退き料に文句を言ったところで相手にもされず、いやもおうもなく強制立ち退きが行われるます。
胡同の雑貨屋(原)

胡同の靴直し屋(原)

北京胡同。観光の見世物としての胡同ではなく、生活の場としての胡同がどの程度残っていくか、まだわかりません。あと50年のうちに北京中心部はほとんどがビルになっていくのではないかと思います。
プロの写真家のきちんとした記録としてではなくとも、ひとつの時代の記憶として多様な角度から土地の記憶を残しておくことが必要なのではないかと思います。
春庭が撮影した胡同、ピントも甘いデジカメでただシャッターを押しただけのものですが、何かの記録になればと思い、UPしてみます。
<つづく>