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ぽかぽか春庭「コプト織&ミルフルールタペストリー」

2013-07-09 00:00:01 | エッセイ、コラム
2013/07/09
ぽかぽか春庭@アート散歩>織り姫たちの千年(2)コプト織&ミルフルールタペストリー

 今年2013年2~3月、東京国立博物館の展示で、「古代エジプトのコプト織」を見ました。東博140周年特集陳列「コプティック・テキスタイル―エジプトのコプト信仰が綴った織文様―」です。

 コプト織とは、紀元3世紀から13世紀にかけて、エジプトのキリスト教徒(コプト教徒)が織った綴織(つづれおり)です。コプト教徒たちは、地中海文化の影響を受けた古拙ながら美しい織文様で衣服を造り、墓を飾りました。

 コプトの綴織は、平織にさまざまな色糸を緯糸(ぬきいと=横糸)にして色糸を入れ替えで文様を織り出していく。多くは、生成りの亜麻糸を経糸にして、いろんな色に染めた麻やウールの緯糸で天使や人物、植物、動物などの文様を織り込んでいます。衣服の装飾や部屋の壁飾り、墓に供える死者装束などにしました。

 墓などから出土した織物は、色が退色しているものが多いですが、今回は、女子美術大学が制作したDCG画像で、女性が衣装を身につけているところが、復元されていました。出土した小さな端切れの展示も貴重ですが、私のような素人には、元はどのような衣装であったのか、よくわかってよかったです。

 2013年2月に東博で見たコプト織

コプト織

 2012年年末に東京都美術館で見た、「メトロポリタン美術館展」にも、印象的なタピストリーの織物が出展されていました。16世紀オランダで織られた、精緻な図柄のタピストリー。こまかい織りで、羊飼いの若い男女を織りだし、犬や小鳥が遊ぶ花盛りの野に、羊飼いはバグパイプを吹き、その恋人でしょうか若い女性は楽譜を持って歌を歌っています。

 地模様は、千の花が集められたような柄で、「千の花ミルフルール(ミルフラワー)」という織の技法だそうです。
 当時発達していた「ミルフラワー」の技法で、細かい花模様が織出されています。
 織り手たちの卓越した技法によって、たくさんの人手と長い時間をかけて織り上げられるタペストリー。
 絵の具で描いたのと同じようにさまざまな色合いで織られたタペストリーは、壁飾りや間仕切りとして、中世の館を飾りました。

 音楽を奏でる男女の羊飼いのタペストリー」南ネーデルランド 1500-30年頃


 中央に立つ樹木は、ヨーロッパの「メイポール」「メイトゥリー(五月の木)」と同じく、世界樹、生命のもとになる木を表しています。
 
<つづく>
コメント (6)
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