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2013/07/10
ぽかぽか春庭@アート散歩>織り姫たちの千年(3)織物の色-貴婦人と一角獣とガンダム
今年2013年5月13日に見た国立新美術館の「貴婦人と一角獣La Dame à la licorne)」展も、すばらしいタピストリーでした。綴れ織り絨毯や陰かけを表すタピストリーは、タペストリーという表記もあります。
タピスリーtapisserie)はフランス語で、タペストリー(tapestry)は英語です。日本語外来語としては、どちらを採用してもいいと思うのですが、フランス産のものを紹介するときはタピスリーにしておきます。外来語でなく表現するなら綴織壁掛け(つづれおりかべかけ)になりますが、すでに、この語よりタピスリーまたはタペストリーのほうが通用していますので)
招待券手に入れての見物でしたから、解説のイヤホンを借りました。音声ガイドでリルケの詩を朗読しているのは、池田秀一。
池田秀一は、ガンダムの中でシャアを演じている声優で、「機動戦士ガンダムUC」では、フル・フロンタル役。私には、子どものころNHKテレビで見ていた「次郎物語」の次郎さんですが、「次郎さん」を演じた子役時代の池田秀一を覚えている世代もすっかり年を取りました。
地味な展覧会と思ったのに、思ったより若い観覧者も多かったのは、「機動戦士ガンダムUC」の影響なんだとか。UCはユニコーンのことで、ガンダムカンケーにうとい私には、何がなにやら状態ですが、アニメの中で重要な絵らしいです。
娘と息子が、無料配信された「「ガンダムUC」第1話だけ見たといっていました。第1話、主人公が出征の秘密を知る重要なシーンにこの「貴婦人とユニコーン」のタペストリーが出てくるそうです。
第1話から全話みたファンなら、このタピストリーの本物が見られるとあっては、国立新美術館に見に来たくなるでしょうね。
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予想通り、このタピストリーのほか、あまりめぼしい展示はなかったので、1500円のチケット買った人は、高い見物料と思ったか、見たいタピストリーがフランスまで出かけなくても見ることができて安いと思ったか。
ガンダムUCファンは、本物の「貴婦人と一角獣」が見られて、きっと満足したと思います。
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イヤホンガイドの声に案内されて、最初の部屋に入ると、どど~んと広い大部屋に、6枚の大型タピストリー。それぞれが5m四方くらいあります。6枚を一度に見られるようにした展示方法、よそでは見かけない空間でした。
この6枚のタピストリーは、15世紀末にパリで下絵が描かれ、フランドル地方(ベルギー、オランダ、フランスにまたがる地域)の織物工房で織られた、と推測されています。
古いお城に放置されていたタピストリーが、ジョルジュ・サンドらが言及することによって再発見され、修復がほどこされました。痛んだ糸が補修され、現在は、フランスのクリュニー美術館に展示されています。クリュニーが改修工事されている間、東京と大阪を巡回展示されます。
展覧会についての解説はこちらで。7月まで国立新美術館で、そのあと大阪へ巡回。
http://www.lady-unicorn.jp/highlight.html
6枚のタペストリーのうち、「聴覚」を表しているもの(買ってきた絵はがきのコピーなので不鮮明ですがUP)
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聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚の5枚に加えて、6枚目は「「我が唯一つの望み、(A mon seul désir)」を表しているのだそうです。「我が唯一つの望み」の解釈には諸説あります。「愛」が唯一の望みとされたり、「理解」が唯一の望みなのだとされたり。
五感をすべて統合してさらなるものごとを望むとしたら、さて、それはどんなことなのでしょう。それぞれの解釈で「唯一の望み」を見つめます。
私の唯一の望みといえば、そりゃもう、フランスのクリュニー美術館までいつでも見に行けるような生活になることですが、それは遠い望みのようです。せめて、美術展のチケット1500円を「高くて見にいけない」とあきらめるような生活ではなくなることをのぞんで、明日も働きましょう。
<つづく>