20140707
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(5)桃太郎のお話を話して
学生の質問、おお、こんなことを質問されて、私もあらためて考える時間がとれてよかった、と思うような質問もありますが、たいていは、毎年同じことを聞かれる定番質問です。
まずは、定番の質問の例を。同じような質問を毎年されて、答えるのが面倒な場合、検索せよと、突き放す。授業で必要なことがらについては、めんどうでもいちいち答える場合もありますが。
<質問1>
十八番には「おはこ」という読み方がありますが、どうしておはこと言うんですか。
<回答1>
ネットにつながるケータイ電話を持っているなら、まず、検索してください。ネットの辞書に語源が掲載されています。
いまどきは、たいていの語の読み方、意味、語源までが検索すれば調べることができます。学生には、まず検索せよ。検索しても載っていなかった場合、書いてあってもよく理解できなかった場合に教師に質問せよ、と言っています。教師は「歩く辞書」ではないので、ネット検索程度でわかることなら、自分で調べなさい、と。
以上は、突き放した場合。次は、毎年出る同じ質問に、毎回あきもせず答えている場合。
<質問2>
話という漢字には話(はなし)と話し(はなし)という送り仮名の違いがありますが、何が違うのですか? 終わりと終りも。
<回答1>
文部科学省の「現代かなづかい」に準拠してお答えします。
動詞は、活用語幹を漢字の読みに当て、活用語尾(後ろにつく付属のことばにより形が変わる部分)をひらがなで書くことが原則です。
「話す」は、はなサない、はなシて、はなス、はなセば、など、「はな」は変わらない部分(語幹)です。変わる部分はひらがなで表記します。
しかし、自動詞他動詞を区別するために、変化しない部分をひらがなで表記する場合もあります。
自動詞「終わる」は、おわリます、、おわル、おわレば、と活用し、「おわ」が活用語幹です。しかし、「終る、終て、終れば」と表記した場合、他動詞「終える」も「終る、終て、終れば」となり、区別がつきません。そのため、「お」だけを漢字の読みに当て、終わる、終える 終えれば、終われば、と表記し、自動詞他動詞の混乱がないように書きます。
「終わり」は、動詞の連用形(日本語教育では「マス形」と呼ぶ)が、名詞になった語です。(連用形名詞)。名詞は形が変わらないので、「終わり」と書いても「終り」と書いても「終」と書いても、誤解は生じないと思われるのですが、動詞との整合性のために「終わり」と表記します。
「話し」は動詞のときの活用語尾「す」の連用形を送り仮名として表記しています。名詞の「話(はなし)」は、送り仮名表記がなくても意味の混乱がないので、「話」を「はなし」と読んでもいいのです。すなわち、「桃太郎のお話」の「話」は名詞であり、おばあちゃんが桃太郎について話し、子供たちは喜んだ」の「話し」は、動詞です。
こんなことを毎年毎年、繰り返して教えています。いいかげん、小学校でも中学校でも国語現代表記について、きちんと指導してほしい、と思うのですが。国語の先生は、指導書片手に「このときの主人公に気持ちは、どうだったでしょうか。1,こわかった2,さびしかった、3,はずかしかった。」なんていう指導はするけれど、「話し」と「話」の区別は教えないのです。ちなみに、こんな指導しかできなかったというのは、40年前は中学校国語教師だった春庭ですけれど、、、。
<つづく>
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(5)桃太郎のお話を話して
学生の質問、おお、こんなことを質問されて、私もあらためて考える時間がとれてよかった、と思うような質問もありますが、たいていは、毎年同じことを聞かれる定番質問です。
まずは、定番の質問の例を。同じような質問を毎年されて、答えるのが面倒な場合、検索せよと、突き放す。授業で必要なことがらについては、めんどうでもいちいち答える場合もありますが。
<質問1>
十八番には「おはこ」という読み方がありますが、どうしておはこと言うんですか。
<回答1>
ネットにつながるケータイ電話を持っているなら、まず、検索してください。ネットの辞書に語源が掲載されています。
いまどきは、たいていの語の読み方、意味、語源までが検索すれば調べることができます。学生には、まず検索せよ。検索しても載っていなかった場合、書いてあってもよく理解できなかった場合に教師に質問せよ、と言っています。教師は「歩く辞書」ではないので、ネット検索程度でわかることなら、自分で調べなさい、と。
以上は、突き放した場合。次は、毎年出る同じ質問に、毎回あきもせず答えている場合。
<質問2>
話という漢字には話(はなし)と話し(はなし)という送り仮名の違いがありますが、何が違うのですか? 終わりと終りも。
<回答1>
文部科学省の「現代かなづかい」に準拠してお答えします。
動詞は、活用語幹を漢字の読みに当て、活用語尾(後ろにつく付属のことばにより形が変わる部分)をひらがなで書くことが原則です。
「話す」は、はなサない、はなシて、はなス、はなセば、など、「はな」は変わらない部分(語幹)です。変わる部分はひらがなで表記します。
しかし、自動詞他動詞を区別するために、変化しない部分をひらがなで表記する場合もあります。
自動詞「終わる」は、おわリます、、おわル、おわレば、と活用し、「おわ」が活用語幹です。しかし、「終る、終て、終れば」と表記した場合、他動詞「終える」も「終る、終て、終れば」となり、区別がつきません。そのため、「お」だけを漢字の読みに当て、終わる、終える 終えれば、終われば、と表記し、自動詞他動詞の混乱がないように書きます。
「終わり」は、動詞の連用形(日本語教育では「マス形」と呼ぶ)が、名詞になった語です。(連用形名詞)。名詞は形が変わらないので、「終わり」と書いても「終り」と書いても「終」と書いても、誤解は生じないと思われるのですが、動詞との整合性のために「終わり」と表記します。
「話し」は動詞のときの活用語尾「す」の連用形を送り仮名として表記しています。名詞の「話(はなし)」は、送り仮名表記がなくても意味の混乱がないので、「話」を「はなし」と読んでもいいのです。すなわち、「桃太郎のお話」の「話」は名詞であり、おばあちゃんが桃太郎について話し、子供たちは喜んだ」の「話し」は、動詞です。
こんなことを毎年毎年、繰り返して教えています。いいかげん、小学校でも中学校でも国語現代表記について、きちんと指導してほしい、と思うのですが。国語の先生は、指導書片手に「このときの主人公に気持ちは、どうだったでしょうか。1,こわかった2,さびしかった、3,はずかしかった。」なんていう指導はするけれど、「話し」と「話」の区別は教えないのです。ちなみに、こんな指導しかできなかったというのは、40年前は中学校国語教師だった春庭ですけれど、、、。
<つづく>