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ぽかぽか春庭「ひらがなカタカナと変体仮名」

2014-07-09 00:00:01 | エッセイ、コラム
2014/07/09
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(6)ひらがなカタカナと変体仮名

 日本語教師志望の日本人学生質問の定番つづき。
せ質問1> 
 なぜ、日本には平仮名とカタカナがあるのですか、使い分けは?
<回答1>
 日本の仮名文字は、漢字(真名文字)から作られた文字です。漢字は、一画一画をきちっと書く楷書体、早くかけるように続け字で書くのが行書体。さらに簡略にくずして書くのが草書体です。草書体をさらに簡略に崩し、日本語の音韻にあてはめて、ひとつの音節にひとつの草書体を当てはめたのが、草かなです。
 カタカナは、漢字の一部分をとって、日本語の音節の発音にあてはめました。

 ひらがなカタカナが定着する以前には、漢字を用いて日本語の発音を表す「万葉仮名」が用いられました。例を挙げます。
 額田王「茜草指 武良前野逝 標野行 野守者不見哉 君之袖布流=あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる」
 「不見みず」のように、漢文を取り入れた表記もあり、「武良前野むらさきの」のように、訓読みを組み合わせた表記もあります。やがて「武」の草書体が草仮名「む」となり「良」の草書体が草仮名「ら」として定着していきました。 

 草仮名は、字体がしだいに定まり「平仮名」として定着しました。主に女性たちが、和歌や手紙、日記をかくために用い、片仮名は、僧侶などが漢文の経文に日本語の助詞を書き加えて意味を分かりやすくするために用いていました。男性は漢字を用いて漢文で正式な文書として書いていましたが、『土佐日記』のように男性がひらがなの文章を書くことも多くなっていきました。紀貫之が「自分は女性である」として『土佐日記』を書いたのは、当時ひらがなは女性がつかうものと思われていたからです。)

 現代仮名遣いでは、漢字熟語は漢字で、和語はひらがなおよび漢字の訓読みで表記する。用言の送り仮名や助詞はひらがな。外来語と動植物名、擬音語擬態語は、原則カタカナで書くことを基本としています。

 なぜひらがなカタカナの両方を使うかというと。政府は、最初は漢字とカタカナのみ使う予定でした。しかし民間では「漢字+ひらがな」の方が普及し、政府(文部省)が、ひらがなをあとおいで承認したため、当初の「カタカナが正式な表記である」という姿勢を崩せなかったためです。明治政府は、公式文書は漢字とカタカナを用いて表記しました。
 また、たくさん存在した仮名文字を整理して、教育用にひとつの音節に仮名はひとつのみ採用しました。1900(明治33)年のこと。

 次の文字、なんと読むでしょうか。

 そばやの看板やのれんによく出てくる文字です。
 江戸時代の蕎麦屋の「そ」には、現代仮名表記の「曽→そ」ではなく、本来は、「楚→上記のれんの文字の真ん中の字」が使われていました。

 今でも、老舗の蕎麦屋は「生楚者」というのれんがかかっています。(今できの蕎麦屋は、「生そば」のことを「ナマソバ」と言ったりするので、もう老舗の味も通用しないのでしょうけれど)。
 楚者の仮名文字が使えなくなったので「そば」にしたのですが、頑固な昔ながらの蕎麦屋の看板は、今も看板やのれんには、現代仮名文字の「そば」でなく「生楚者(を崩した仮名文字)」を用いているのです。、

 当初、明治政府は、漢字カタカナ表記を公文書の書体とし、学校教育も1年生にはカタカナから教え始める教科書を用意しました。「ハナ ハト マメ、、、」
 しかし、明治期後半に言文一致運動が起こり、江戸戯作などで用いられていた表記、「漢字ひらがな」が言文一致の表記として一般に普及したので、国定教科書もひらがな教育に力を入れるようになりました。

 公文書は、漢字カタカナ表記とする、という表記法は、昭和前期まで変わりませんでした。昭和後期以後、公文書も漢字ひらがなになりました。1946~1951に行われた国語表記改革で、通常文は「漢字+ひらがな」を基本とすることになりました。

 明治政府が1900年に排除した仮名文字は、「変体仮名」と呼ばれています。
 変体仮名は、検索すればたくさんのサイトがあるので、明治のはじめまで使われてきたたくさんの仮名文字を見ることができます。

 ほんとうは、別のサイトを紹介したいのですが、サイトURLに、規制語が含まれていて、UPできなくなるので、この語が含まれていないサイトURLを。
http://www.benricho.org/kana/

<つづく>
コメント (5)
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