2014/07/12
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(9)教えられつつ
「日本語学」「日本語教授法」の学生たちから、毎年同じような定番の質問がでますが、「自分で調べなさい」で済ませられることもあるし、毎年同じ回答を繰り返すことになる項目もあります。無意識のうちに使い慣れている日本語も、一歩違ったところから眺めると、おもしろい表現や他の言語とは異なる表現がたくさんみつかります。
学生に「あたりまえと思って使っている日本語も、知ってみると奥が深いなあ」と、思ってもらえればうれしいのですが。
定番質問はまだまだ続くのですが、今回は、これにておひらき。結婚式などでは「おわり」「おしまい」とはいわず、「おひらき」というんですよ、という忌み言葉の話など、まだまだ日本語の話、学生に知っておいてほしいことはたくさんあります。
また、毎期、学生に教えられることもあり、授業は私にとってフィールドワークの現場でもあります。
「ろりめく」を教わったほかにも、たとえば、「イカ東」という略語は、だいぶ前から若者の間、ネット用語などでは流通していたらしいのに、私のアンテナにはひっかかっていませんでした。「いかにも東大生」の略語だろうという検討はついたんだけれど。
「知的」とか「まじめそう」という+イメージではなく、「勉強ばかりしてきて、ファッションにうとく、ださいかっこうをしていても東大生だから許されると思っている」というマイナスイメージに使われる方が多いことを学生に教わりました。なるほど。
「いか慶」とか「いかワセ」という略語はまだ通用していないところをみると、やはりトーダイは別格扱いなのだなあと、イカ東の大学生には優越感を持たれてしまいそうなところが難点の若者用語です。
そのほかにも、「うちの小学校では計算ドリルをケイドリと言っていた」とか、「私の高校では、近くのケンターキーでフライドチキンを食べながらおしゃべりすることを、トリる、と言っていた」などのように、地域限定かもしれない略語など、いろいろ教えてもらいました。
『舟を編む』の中で、辞書編集主幹の老先生が若者が集まる店に行き、若者言葉に耳をそばだたせているシーンがありました。私もマックにも行きますが、それは120円だか140円のコーヒーのむためであり、マックやケンタにいかなくても、授業をしながら若者言葉採集ができるんてす。
昔教わった先生が「授業に出るのがいやだという研究者が多いけれど、研究室にこもって研究だけしていたら、だめなんだ。研究を研究室にこもるだけでやっている人の研究は、古びて、干物になるんだよ」と言っていたのを思い出します。現代語研究ではなくて、古典語研究であっても、やはり「生きた日本語の現場」に身をおくことが大切なのだと。
私は、通勤の電車のなかで高校生大学生がしゃべっていることば、おばさん同士のおしゃべりに耳を傾けるのが好きです。今、どんなことが話題になっているのか、どんな言葉遣いでハナされているのか、日本語文法研究をやめてしまった私ですが、ことばのウォッチングは今でも楽しいです。
では、今日もこれから、若者日本語の現場へ行ってきます。
変体仮名を教えに
<おわり>
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(9)教えられつつ
「日本語学」「日本語教授法」の学生たちから、毎年同じような定番の質問がでますが、「自分で調べなさい」で済ませられることもあるし、毎年同じ回答を繰り返すことになる項目もあります。無意識のうちに使い慣れている日本語も、一歩違ったところから眺めると、おもしろい表現や他の言語とは異なる表現がたくさんみつかります。
学生に「あたりまえと思って使っている日本語も、知ってみると奥が深いなあ」と、思ってもらえればうれしいのですが。
定番質問はまだまだ続くのですが、今回は、これにておひらき。結婚式などでは「おわり」「おしまい」とはいわず、「おひらき」というんですよ、という忌み言葉の話など、まだまだ日本語の話、学生に知っておいてほしいことはたくさんあります。
また、毎期、学生に教えられることもあり、授業は私にとってフィールドワークの現場でもあります。
「ろりめく」を教わったほかにも、たとえば、「イカ東」という略語は、だいぶ前から若者の間、ネット用語などでは流通していたらしいのに、私のアンテナにはひっかかっていませんでした。「いかにも東大生」の略語だろうという検討はついたんだけれど。
「知的」とか「まじめそう」という+イメージではなく、「勉強ばかりしてきて、ファッションにうとく、ださいかっこうをしていても東大生だから許されると思っている」というマイナスイメージに使われる方が多いことを学生に教わりました。なるほど。
「いか慶」とか「いかワセ」という略語はまだ通用していないところをみると、やはりトーダイは別格扱いなのだなあと、イカ東の大学生には優越感を持たれてしまいそうなところが難点の若者用語です。
そのほかにも、「うちの小学校では計算ドリルをケイドリと言っていた」とか、「私の高校では、近くのケンターキーでフライドチキンを食べながらおしゃべりすることを、トリる、と言っていた」などのように、地域限定かもしれない略語など、いろいろ教えてもらいました。
『舟を編む』の中で、辞書編集主幹の老先生が若者が集まる店に行き、若者言葉に耳をそばだたせているシーンがありました。私もマックにも行きますが、それは120円だか140円のコーヒーのむためであり、マックやケンタにいかなくても、授業をしながら若者言葉採集ができるんてす。
昔教わった先生が「授業に出るのがいやだという研究者が多いけれど、研究室にこもって研究だけしていたら、だめなんだ。研究を研究室にこもるだけでやっている人の研究は、古びて、干物になるんだよ」と言っていたのを思い出します。現代語研究ではなくて、古典語研究であっても、やはり「生きた日本語の現場」に身をおくことが大切なのだと。
私は、通勤の電車のなかで高校生大学生がしゃべっていることば、おばさん同士のおしゃべりに耳を傾けるのが好きです。今、どんなことが話題になっているのか、どんな言葉遣いでハナされているのか、日本語文法研究をやめてしまった私ですが、ことばのウォッチングは今でも楽しいです。
では、今日もこれから、若者日本語の現場へ行ってきます。
変体仮名を教えに
<おわり>