春庭Annex カフェらパンセソバージュ~~~~~~~~~春庭の日常茶飯事典

今日のいろいろ
ことばのYa!ちまた
ことばの知恵の輪
春庭ブックスタンド
春庭@アート散歩

ぽかぽか春庭「白米ごはんライス」

2014-07-10 00:00:01 | エッセイ、コラム
2014/07/10
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>質問に答えて(7)白米ごはんライス

 定番質問のつづき。
<質問1> 
 お米と白米、ライスの違い。ミルク、牛乳の違いは何ですか。
<回答1>
 和語、漢語、外来語によって同じものを指し示すことがあります。しかし、同じものを指し示していても、それぞれの意味の違いがあります。
 農家で牛の乳房を絞る時は「乳しぼり」と言います。牛の乳(ちち)。それを製品化して、紙パックやビンにつめると「牛乳」と呼びます。レストランや喫茶店で飲むグラスに入った飲用物を注文するときは「ミルクください」と頼みます。製品化される前「牛の乳」、製品化「牛乳」、洋風の飲み物として「ミルク」。

 小さい昔ながらの宿泊施設。やど(宿)、はたご(当て字は「旅籠」)。部屋数が多くなり温泉などを備えたところは旅館。西洋風の部屋に客を泊め、木造より近代的ビルの建築になるとホテル。

 田に生えている植物は、稲。その種子だけ取ると「モミ(籾)」。籾を精米すると「米」。コメのうち、もみ殻(ぬか)を全部取り去ったのが「白米」。玄米や白米を蒸したりゆでたりしたら、ごはん。と、呼びます。水分が多ければ粥。
 炊き上がったご飯を洋食として客に供するときは、皿の上に盛り付け、「ライス」と呼ぶ。英語は、稲、籾、白米、すべてriceですが、農業国日本では、経済文化の基本であるコメに対してもきめこまやかに、名前を変えます。アラビア語に、ラクダを表す単語が500以上あるのと同じ。自分たちの文化にかかわり深いものは、細かく細分して名づけが行われる。

 同じものを和語漢語外来語で言い換えた語があるのは、それぞれに異なる意味があるからですが、ファッション用語は、同じものであっても、名前だけが変わる場合もあります。新しい名前にしたほうが、新しいファッションに思えるからです。「チョッキ、ベスト、ジレ」「ズボン、スラックス、パンタロン、パンツ」など。もっとも、ファンション関係者にいわせればジレとベストは大違い、なのでしょうけれど。


 「漢字とひらがなと、どちらで書けばいいですか」という質問がきたときは、「ひらがな」で書いても、同音異義語が無く、誤解されるおそれのない語は、できるだけひらがなでかくのが私の方針。たとえば「えんそく遠足」や「えんぴつ鉛筆」は、同音語がないので、ひらがな、かたかなで書いても誤解される心配が少ない。けれど、分かち書きをしない場合、単語の区切りを示すために、あえて漢字をつかうことがあります。「おはよう」と書いても「お早う」と書いても、誤解されないだろうけれど、ニュアンスは異なります。「わたし、ワタシ、私」どの表記を採用するかは自由です。

<つづく>
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする