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ぽかぽか春庭「コロンブスの卵につけるめりはり」

2014-07-16 00:00:01 | エッセイ、コラム
20140716
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>ユリーカ!!(3)コロンブスの卵につけるめりはり

 日本語講師室の先生たちのおしゃべりを聞いていても、そうだったのか!と教えられること多々あり、私の乏しい脳の襞がちょっとは深く刻まれたかな、と感謝しております。
 先生たちのおしゃべりで愉快なのは、留学生による日本語の誤用勘違い編。漢字でも慣用句でも、日本語母語話者の思いもよらぬ発想で、さまざまな誤解を披露してくれる留学生たちの「愉快な日本語」を教えあって、みなでおもしろがります。

 7月14日の講師室で。
 「コロンブスは新大陸を発見して、そこがインドであると信じていた」という文章にかなをふる漢字のテスト。
 ある留学生の解答。ハッケン、シンじる、は合っていたのに、新大陸には「しんおおさか」というふりがな。

 留学生の思考回路をたどると。
 「新」と「大」までは「見たことある漢字」と思い出したけれど、「阝」の漢字、なんだったけな。「新大○」に当てはまる漢字の中で思い出したのが、関西旅行に行ったときの駅名「新大阪」。そうだ、「阝」があったよな。これはきっと「しんおおさか」に違いない、と沈思黙考推理推測の結果のふりがな。

 いっしょうけんめい考えたんだろうなあ。でも、「どうしてコロンブスが新大阪をハッケンするんだよっ!」なんていう突っ込みをする余裕はなかったのでしょうね。

 日本語スピーチの練習をさせていた先生の話。「ずっと一本調子でスピーチしているので、もっとメリハリをつけなさいって言ったら、めりはりって何ですかって逆にきかれちゃって。もっと強弱をはっきりさせて、盛り上げるところと、そうでもないところを分けなさい、って答えたのだけれど。あれ、なんでめりはりっていうのかなって、自分でも気になっちゃって、そのあとのスピーチ指導は上の空」

 講師の先生方、すぐに電子辞書やiフォンのネットサイトで検索。
 メリハリは、「メリカリ」が転じた言葉である。
 「メリカリ」とは、低い音を「減り(めり)」、高い音を「上り・甲(かり)」と呼んでいた邦楽用語のひとつで、現代では、主に尺八などの管楽器で「浮り(かり)」が使われている。
「減り(めり)」は、「めり込む」など一般的にも使われていた語であるが、「上り・甲」は、邦楽以外で使われることがなかったため、一般では近世頃より「張り」が使われ、「減り張り(めりはり)」になり、「仕事にメリハリをつける」など、比喩的にも用いられるようになった。
by語源由来辞典

 という語源を教えてくれました。なあるほど。またひとつ脳の襞が、、、
 日頃気にせず話している日本語。留学生に教えるという仕事のおかげで、毎学期、留学生からも先生方からも、教えてもらうことがたくさんあって、ずいぶんと「新大陸発見!」のひとときがありました。

 コロンブスが発見したのは大陸ではなくて、カリブ海の小さな島にすぎなかったということで、大陸にはアメリゴ・ベスプッチの名にちなむ「アメリカ」がつけられてしまいましたが、うん、何事もコロンブスの卵。めりはりの効いた卵というのもあるにちがいない。私も、新大陸到達とまではいかなくても、新大阪までくらいには行き着かなくては。

<つづく>
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