20141123
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>おい老い笈の小文(7)わたしも散歩と雑学が好き、、、、晩年の恋も!
散歩と雑学が好き!晩年の恋も好き
at 2003 10/12 08:52 編集
現在の趣味で老後も続けようと思っているのは、散歩と自転車ポタリング。
読書は趣味ではない。人が酸素を断たれると5分で死んでしまうように、水を断たれると1週間余で死んでしまうように、食を断たれると1ヶ月余で死んでしまうように、私にとって、読書は趣味ではなく、「活字を断たれたら死んでしまう」生きるための「絶対必要物」なのだ。
小学校のころは、欠食児童のごとく、一日にルパンとホームズとベルヌを三冊読むというようなガツガツとかっ込む読書をしたが、今はさすがに「絶対必要物」の読書とは言っても、ぽっくりぽくぽく散歩を楽しむのと同じように、楽しくゆったり読むのが好き。
「散歩と雑学」は、生きる糧。本を読み散らし、トリビア雑学を仕入れては孫に披露して「それ、トリビアの泉でやってた、もう知ってる」なんて、うるさがられる晩年もいい。
しかるに「晩年は雑学蘊蓄」もいいけど「晩年の恋」のほうがもっといいですぞ、というご意見にも一票!です。
☆☆☆☆☆☆
春庭千日千冊 今日の一冊No.17
(ち)千野栄一『言語学の散歩』
『言語学の散歩』を読んだときには、ただただ、言葉というものの面白さを無心に楽しんだ。
70年代はじめ、徳永康元に言語学を教わったとき、言語学とはなんて面白い学問なのだろうと思い、期末レポートとして「サピア・ウォーフの仮説」について書いた。徳永先生から優をもらった。
しかし、言語学をやるためには、言語に強くなければならない。いかんせん、私は日本語以外のことばには、まったく弱かった。大林太良の神話学の方法でやろうとした卒論の『古事記』は大失敗作だった。
千野栄一は、日本の中でも最も「言語に強い人」の一人。
私が千野先生に言語学を教わっていた80年代後半、先生から「言語学徒、語源と学生に手をつけるな」「不倫と日本語起源論に嵌ったら命取り」と諭された。
しかし、まもなく先生は離婚を成立させ、ふた回り年下の教え子と結婚!
我々素人が手を染めたら泥沼になることだから、と諭してもらった訓戒だったが、先生にとっては逆転のレトリックなどお手のものであった!
晩年をふたまわり年下の人を愛してすごすのは、男性だけではない。フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフ、作家のマルグリット・デュラスなども、晩年を若い恋人と共にすごした。
日本でも、漫才師の内海桂子師匠は、60代のとき20歳年下の方のファンレターから愛をはぐくみ、正式に結婚した。新婚をからかう若手漫才師の「師匠、夜のつとめは?」という質問に「そりゃあ、結婚したんですから」と自信たっぷりに答えて、からかいを堂々とかわしていた。
散歩と雑学、そして晩年の恋!
~~~~~~~~~~~
シルバー劇団
at 2003 10/13 09:12 編集
映画『ぷりてぃうーまん』を見逃してしまった。淡路恵子主演『ぷりてぃうーまん』は、名古屋の実在の”おばあちゃん劇団”「ほのお」をモデルにした話。
「ほのお」だけでなく、シルバー劇団で活躍している人、市民ミュージカルに参加する人など、演劇は老後の生き甲斐として、人気の高いものの一つ。私もやりたい。
転職13回を数える私の職歴の中で、最も短い期間ではあったが、最も印象に残っている仕事は旅回り一座の役者。
小学校を廻って、小学生にミュージカルを見せ、九州山陰を巡業した日々のこと。演じる場所は体育館、楽屋は体育館の道具置き場、という一座だった。
一座の中で一番好きだった役者森下由美さんは、今も「だるま食堂」というコントトリオの一員として活躍している。
由美さんは、1990年NHK新人演芸コンクールで優勝したあと、即席麺のCMに出演した。持ちネタの「金髪女」の扮装でパレードカーから愛嬌をふりまく由美さんにテレビのこちらから声援をおくりました!
(だるま食堂ホームページはhttp://darumashokudou.com/
由美さんは、本当にすぐれた才能と役者魂をもつ人だったが、私には、役者稼業もアフリカ縦断旅行の資金をかせぐためのアルバイトにすぎなかった。
アルバイト気分で始めた仕事だったが、演劇に一生をかけている由美さんたちといっしょに日々を過ごし各地をまわるうち、一瞬一瞬が出会いであるということを教えられ、二時間の舞台を真剣勝負で生きることの真髄がわかった。「一期一会」の字句の意味が心身に染みた。
たった半年足らずではあったが、「役者をして食べている」と言える生活をした思い出は、私の来し方の中で、誇りに思うことのひとつだ。
☆☆☆☆☆☆
春庭千日千冊 今日の一冊No.18
(つ)つかこうへい『小説熱海殺人事件』
唐十郎、鈴木忠志、寺山修司など、私が学生時代に見た「アングラ」は、私より少し上の世代の演劇人たち。私より1歳年長のつかこうへいが演劇界に登場し、怒濤の活躍を始めたとき、私は、国語教師兼演劇部顧問として中学生クラブ活動の世話で手一杯。自分の楽しみのために演劇を見る余裕はなかった。
だから、つかの作品は、テレビで見たくらいで、リアルタイムで初演を見た作品はない。もっぱら小説作品を読むだけだった。
つかの芝居をよく見たのは、息子が「つかこうへい劇団児童教室」に在籍して、「教室在籍児童保護者への招待券、割引券」などを使えた数年前のことである。『幕末純情伝』などを見に行った。
初演から何年たっていても、つか作品は古びない。すごいな。もっとも、近松、シェークスピアは400年たっても古びないし、世阿弥は600年、雅楽伎楽は1000年たっても古びない。
年ごとに古びていく、我が顔の皺がうらめしい。
<つづく>
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>おい老い笈の小文(7)わたしも散歩と雑学が好き、、、、晩年の恋も!
散歩と雑学が好き!晩年の恋も好き
at 2003 10/12 08:52 編集
現在の趣味で老後も続けようと思っているのは、散歩と自転車ポタリング。
読書は趣味ではない。人が酸素を断たれると5分で死んでしまうように、水を断たれると1週間余で死んでしまうように、食を断たれると1ヶ月余で死んでしまうように、私にとって、読書は趣味ではなく、「活字を断たれたら死んでしまう」生きるための「絶対必要物」なのだ。
小学校のころは、欠食児童のごとく、一日にルパンとホームズとベルヌを三冊読むというようなガツガツとかっ込む読書をしたが、今はさすがに「絶対必要物」の読書とは言っても、ぽっくりぽくぽく散歩を楽しむのと同じように、楽しくゆったり読むのが好き。
「散歩と雑学」は、生きる糧。本を読み散らし、トリビア雑学を仕入れては孫に披露して「それ、トリビアの泉でやってた、もう知ってる」なんて、うるさがられる晩年もいい。
しかるに「晩年は雑学蘊蓄」もいいけど「晩年の恋」のほうがもっといいですぞ、というご意見にも一票!です。
☆☆☆☆☆☆
春庭千日千冊 今日の一冊No.17
(ち)千野栄一『言語学の散歩』
『言語学の散歩』を読んだときには、ただただ、言葉というものの面白さを無心に楽しんだ。
70年代はじめ、徳永康元に言語学を教わったとき、言語学とはなんて面白い学問なのだろうと思い、期末レポートとして「サピア・ウォーフの仮説」について書いた。徳永先生から優をもらった。
しかし、言語学をやるためには、言語に強くなければならない。いかんせん、私は日本語以外のことばには、まったく弱かった。大林太良の神話学の方法でやろうとした卒論の『古事記』は大失敗作だった。
千野栄一は、日本の中でも最も「言語に強い人」の一人。
私が千野先生に言語学を教わっていた80年代後半、先生から「言語学徒、語源と学生に手をつけるな」「不倫と日本語起源論に嵌ったら命取り」と諭された。
しかし、まもなく先生は離婚を成立させ、ふた回り年下の教え子と結婚!
我々素人が手を染めたら泥沼になることだから、と諭してもらった訓戒だったが、先生にとっては逆転のレトリックなどお手のものであった!
晩年をふたまわり年下の人を愛してすごすのは、男性だけではない。フランスのシャンソン歌手エディット・ピアフ、作家のマルグリット・デュラスなども、晩年を若い恋人と共にすごした。
日本でも、漫才師の内海桂子師匠は、60代のとき20歳年下の方のファンレターから愛をはぐくみ、正式に結婚した。新婚をからかう若手漫才師の「師匠、夜のつとめは?」という質問に「そりゃあ、結婚したんですから」と自信たっぷりに答えて、からかいを堂々とかわしていた。
散歩と雑学、そして晩年の恋!
~~~~~~~~~~~
シルバー劇団
at 2003 10/13 09:12 編集
映画『ぷりてぃうーまん』を見逃してしまった。淡路恵子主演『ぷりてぃうーまん』は、名古屋の実在の”おばあちゃん劇団”「ほのお」をモデルにした話。
「ほのお」だけでなく、シルバー劇団で活躍している人、市民ミュージカルに参加する人など、演劇は老後の生き甲斐として、人気の高いものの一つ。私もやりたい。
転職13回を数える私の職歴の中で、最も短い期間ではあったが、最も印象に残っている仕事は旅回り一座の役者。
小学校を廻って、小学生にミュージカルを見せ、九州山陰を巡業した日々のこと。演じる場所は体育館、楽屋は体育館の道具置き場、という一座だった。
一座の中で一番好きだった役者森下由美さんは、今も「だるま食堂」というコントトリオの一員として活躍している。
由美さんは、1990年NHK新人演芸コンクールで優勝したあと、即席麺のCMに出演した。持ちネタの「金髪女」の扮装でパレードカーから愛嬌をふりまく由美さんにテレビのこちらから声援をおくりました!
(だるま食堂ホームページはhttp://darumashokudou.com/
由美さんは、本当にすぐれた才能と役者魂をもつ人だったが、私には、役者稼業もアフリカ縦断旅行の資金をかせぐためのアルバイトにすぎなかった。
アルバイト気分で始めた仕事だったが、演劇に一生をかけている由美さんたちといっしょに日々を過ごし各地をまわるうち、一瞬一瞬が出会いであるということを教えられ、二時間の舞台を真剣勝負で生きることの真髄がわかった。「一期一会」の字句の意味が心身に染みた。
たった半年足らずではあったが、「役者をして食べている」と言える生活をした思い出は、私の来し方の中で、誇りに思うことのひとつだ。
☆☆☆☆☆☆
春庭千日千冊 今日の一冊No.18
(つ)つかこうへい『小説熱海殺人事件』
唐十郎、鈴木忠志、寺山修司など、私が学生時代に見た「アングラ」は、私より少し上の世代の演劇人たち。私より1歳年長のつかこうへいが演劇界に登場し、怒濤の活躍を始めたとき、私は、国語教師兼演劇部顧問として中学生クラブ活動の世話で手一杯。自分の楽しみのために演劇を見る余裕はなかった。
だから、つかの作品は、テレビで見たくらいで、リアルタイムで初演を見た作品はない。もっぱら小説作品を読むだけだった。
つかの芝居をよく見たのは、息子が「つかこうへい劇団児童教室」に在籍して、「教室在籍児童保護者への招待券、割引券」などを使えた数年前のことである。『幕末純情伝』などを見に行った。
初演から何年たっていても、つか作品は古びない。すごいな。もっとも、近松、シェークスピアは400年たっても古びないし、世阿弥は600年、雅楽伎楽は1000年たっても古びない。
年ごとに古びていく、我が顔の皺がうらめしい。
<つづく>