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ぽかぽか春庭「駅のホームでころぶ」

2014-11-26 00:00:01 | エッセイ、コラム
20141126
ぽかぽか春庭日常茶飯辞典>十四事日記11月冬支度(1)駅のホームでころぶ

 2003年の秋に、「この先老いていく心の支度」として「おい老い笈の小文」を書き始めました。老いに関わるニュースや本を巡りながら、自分の老いを見つめ、老人になっていく準備をしようと思ったのです。冬になる前の冬支度のような、老いを目前にしての老い支度。

 しかし、実際に11年たって、私も保険証で年齢を提示すれば、美術館常設展を無料出見られる年になりました。日頃は特に身体的精神的な老いを感じることなく過ごしているのですが、確実に体は衰えているのだなあと思います。今月、駅で思わぬ怪我をしました。以下、ウェブ友yokoちゃんのブログコメント欄に書いたことをもう一度。
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 近頃、電車の中で本を読もうとしてもつい居眠りをしてしまうことが多くなりました。ときどき乗り越します。
 中央線、新宿に近づき、新宿の次はもう、降りなくちゃと思っているのに、目をつぶってしまいました。目を開けるとお茶の水。しまった。乗換駅の四谷を過ぎていました。お茶の水で反対方向に戻るには、階段を上り下りして隣のホームへ行かなければなりません。

 大きく膨らんだ超重いトートバッグをキャリーにのせて運んでいるので、階段は苦手です。ようやく階段を降りきると、目の前に総武線が止まっていました。ま、いいか、これに乗れなくても、夕方のラッシュ時間帯には中央線総武線、5分と待たずに次が来るのです。階段を降りて一息いれたとき、初老の男性があわてて階段を降りてきて、私の脇をすり抜けました。きっと是が非でも目の前の電車に乗らないと、新宿駅での乗り継ぎが悪くなるという人だったのかも知れません。乗り継ぎを1本逃すと、次までしばらく待たなくては成らないってことは、私も経験することなので、この男性が大急ぎで新宿方面への電車に飛び乗った気持ちはわかります。

 私は、その男性にぶつからないように、よけようとしました。ところが、荷物の重さもあって、バランスを崩してしまったのです。前のめりにバタリところがり、ホームの黄色い線の上に、うつぶせ大の字になりました。最後尾にいた車掌さんが降りてきて「大丈夫ですか」と声を掛けてくれました。ホームにいた乗客の人たちが、散らばったバッグやキャリー、スイカカードなどを拾い集めてくれました。

 私は、「ありがとう」とお礼を言うのがせいいっぱいで、車掌さんには「大丈夫です」といいました。なにしろこんなふうに転ぶなんて思ってもいなかったので、恥ずかしい思いでいっぱいでした。私の脇をすり抜けた男性が一度乗った電車を降りて「すみません」と言いに来ました。私は「大丈夫ですから」と言いました。この男性が私にぶつかったのなら、抗議するところですが、男性はぶつかってはおらず、私がよけ損なって、バランスを崩したのです。

 車掌さんが「ただいま、ホームでお客様の安全確認をしていたために、この電車の発車が2分遅れましたことをお詫びします」というアナウンスをしました。うわぁ、この安全確認って、私のことだ、と思うとまた恥ずかしくなりました。
 バランスを失ってころぶなんて、なんてことでしょう。長く感じた「安全確認」も、2分間の出来事だったのね。

 帰宅して足を見ると、膝小僧がすりむけて血がにじんでいました。すりむけ程度でよかったのですが、冷静に考えてみると、ころんで恥ずかしいと思うばかりだったのは、無能なことでした。このような出来事にあったときしておくべきことを、何ひとつしていませんでした。私がころんだのは、私がバランスを崩したからですが、男性が階段を駆け下りて突進してこなければ、私はよろけなかったはず。
 気づかないうちに内出血とか骨にヒビがはいっていたとか、重大事故になったかも知れませんでした。
 この男性の住所氏名くらい、車掌さんに聞いておいてもらうべきだった、と気づきました。
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 yokoちゃんが遭遇した地下鉄の乗車下車に伴うトラブルについて、そのときは重大事故にはならなくても、起こった出来事は駅の係員に報告した方がいいのではないか、というコメントを残したところでした。しかし、実際に自分自身がこのようなトラブルに巻き込まれてみると、何も出来なかったなあとあきれてしまいました。

 老いは確実に身体能力を奪っていくのだということも身に染みました。もっと若い頃であれば、突進してくる人をよけようとしたくらいでバランスを崩すことはなかったでしょう。
 ジャズダンスの練習中、目をつぶって片足で何秒立っていられるかを数える、ということをやっています。目を開けていれば1分くらい片足で立っているのはなんていうこともないのに、目をつぶると30秒も立っていられません。それが、先週数えたとき、10秒で片足をついてしまいました。ああ、バランス力が弱っているのだと自覚した矢先の「ホームでバッタリ」でした。

 油断大敵。老いの迫る身体を自覚し、日々是鍛錬。転ばないようにしなくちゃなあ。
 みなさまも、お出かけにはくれぐれも気をつけてくださいね。

<つづく>
コメント (8)
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