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ミンガラ春庭「ミャンマーの教育事情」

2015-04-02 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150402
ミンガラ春庭ミャンマー便り>ミャンマー事情(2)ミャンマーの教育事情

 ミャンマーはアジアの最貧国のひとつといわれています。しかし、民衆の識字率は高く、95%の国民が、ミャンマー文字を読むことができます。
 人々の多くは敬虔な仏教徒で、従来からお寺による無料の寺子屋教育によって、ミャンマー文字の読み書きが指導されてきました。識字率が高く、教育への意欲も高い。

 軍事政権下では、幼稚園1年、小学校4年、中学校4年、高校2年の教育が実施されました。教育は無償でしたから、多くの子ども達が学校教育を受けることができました。ただし、従来の寺子屋を看板だけ小学校に掛け替えた所が多かったということですが。
 寺子屋教育は広く普及してきたミャンマーですが高等教育においては、まだまだ広く門戸を開かれているとはいえず、貧しい層が高等教育を受ける機会は少ない。

 ヤンゴン大学は、1878年にイギリスによって創設されました。しかし軍事政権は学生運動などを警戒してヤンゴン大学を封鎖しました。
 博士課程を持つ大学はヤンゴン大学のみなので、大学院教育のみを残し、学部教育は行われなかったのです。ヤンゴン大学の学部教育が再開されたのは、2013年12月。大学学部の教育が再開してから、まだ1年半ほどなのです。現在の在学者は、2年生と1年生のみ。

 民政移行後、現在は教育にも格差が生じてきました。政府高官や軍部高官の子弟は、授業料の高い私立学校やインターナショナルスクールに通い、大学もシンガポール、オーストラリア、イギリスへなどの留学が盛ん。

 国内で最高水準の大学は、現在ではヤンゴン医科大学だそうです。やはり、医者養成の学科は強い。
 英国領だった地域の大学教育において、大学、大学院教育では英語が共通語として用いられるところが多く、英語熱は高い。
 しかし、残念ながら日本語教育はヤンゴン大学ではまだ開講されていませんでした。民間の日本語学校はありますし、ヤンゴン外国語大学には日本語学科があり、300人の学生が日本語を学んでいます。しかし、ヤンゴン大においては、大学教育としては行われてきませんでした。
 
 2014年10月にはミャンマー政府により、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行に、国内商業活動の免許が発給されました。その他の日本企業も、ミャンマーでのビジネスチャンスをうかがっています。日本語を覚えれば、日本企業で働くチャンスもできるとあって、日本語教育への要望も高くなってきました。 

 新しい体制を整えて歩み始めて日が浅いミャンマー。そんなときに、一から教育を行える機会を与えられたのです。
 ミャンマー語はまったくわからず、英語も上手ではない私が、どれだけのことができるのかわかりませんが、なんとかミャンマーの日本語教育に貢献できるように希望を持って赴任したいと思っています。
 封鎖されていた大学、再開後の教育はまだ端緒についたばかりですが、微力な私でも日本語教育、日本学教育に少しでも役立つようがんばりたいです。

 そして、古く豊かな文化を持つミャンマーのさまざまな面を楽しみたいと思っています。織物染め物などの技、民族舞踊、陶芸や漆工芸、人々の暮らしの中に根付いている文化を吸収しつつ、ミャンマーの生活が楽しめるよう、下見も教育ばかりではなく、広くミャンマー社会を見たいと望んでヤンゴンに行きました。

 観光旅行では、ヤンゴン市内のパゴダのほか、古い王朝により建てられたバダン仏教遺跡群を見て回ることが多いでしょうが、今回はとにかく、教育と生活状況の視察が中心です。

 3月31日のニュースで、ミャンマー政府と少数民族反政府軍との間に停戦協定が結ばれ、政府は少数民族の自治権を強める方針を出しました。それでも、シャン州などの少数民族は戦闘を継続する構えを見せており、今後の情勢もわかりません。
 万が一政権が変動し、大統領が替わったり大学学長が替わったりした場合、教育行政も一変してしまう可能性があります。
 心配してもしかたがないので、まずはこの国の文化にふれるところから。

<つづく>
コメント (4)
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