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ぽかぽか春庭「2003年の美術トリビア」

2015-04-29 00:00:01 | エッセイ、コラム
20150429
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記4月( )

 2003年4月の日記再録を続けています。
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2003/04/27 日 曇り
日常茶飯事典>上野の美術館めぐり

 午後、息子と上野へ。芸大美術館で、韓国国立博物館所蔵の近代日本画展と通常展を見た。芸大美術館が開館して以来、ずっと来ようと思っていたが、やっと来ることができた。これまでは、東京都美術館まで来ているのに、芸大までは足をのばさなかった。

 息子に、中3の美術の時間に「日本美術史」をやるかもしれないから、見ておくと、「ああ、この人もこの人も本物を見た」って思えるから、よく見ておきなさいよ、と言う。
 日本画はあまり見たことのない息子。展示されていた絵の作者名で、息子が知っていたのは「徳川慶喜」一人だけ。へぇー、15代さんは絵もうまかったんだ、とふたりで感心。なかなか器用に描いていた。働き盛りで隠居したのだから、絵でも描いていないと間がもたず、上達したのかもしれない。

 卒業制作として残された自画像。それぞれの個性や、取り入れている時代の描き方が面白い。野獣派風あり表現派風あり。これを描いたときには皆「我こそは世界一の絵描き」と、思っていたのだろうが、半分はまったく名を知らなかった。早世した者、戦死したもの、挫折したもの。藤田嗣司や青木繁などはすぐわかる顔。

 次に西洋美術館。タペストリー展と通常展。
 こちらも「世界美術史」の授業のとき、紹介される絵がたくさんあるから、ようく見ておきなさいよ。「美術の教科書に出てくる絵ばっかりだよ。っていうか、この美術館にあるから美術の教科書に載っているんだけど」
 息子は、なかなかトリビアうんちくがあって、「レオナルドの絵のうち、本人が全部描いたのはモナリザだけで、あとは全部、工房の弟子に指示して書かせたものを、レオナルドの名で発表しているんだ」と詳しい。
 ルーブル美術館の画集を熱心に見ていた時期があったから、そのころ仕入れたネタか。私はまた、裸婦像に興味が出て熱心に見ているのかと思っていた。思春期ですから。

 タペストリーはとても大きいので、全体をぱっと見ただけでは、すみずみに何が書かれているか目に入らない。家に帰ってパンフレットをしみじみ見れば、ああ、ここにこんな犬が書かれている、とか、気がつく。もう疲れてきて、駆け足で見たので、本当はもっと時間をかけて見る価値のあるものだったのだろうに。

本日のそねみ:卒業制作をただで受け取る芸大、今、藤田や青木を売れば、、、


2003/04/28
日常茶飯事典>連休読書用本の仕入れ

 漢字作文、2コマ。

 仕事を終えて渋谷へ。ブックファーストで7冊約7000円のお買い物。文庫と新書だから、買おうかなあどうしようかなあと迷ったときは、ええい買っておけと、言えるほどのおこづかいがつかえてうれしい。

 迷わず買った本。西江雅之『ことばの課外授業』。書籍広告を見て、おお、西江先生ぜったいに買わなきゃ、と思っていた。真木悠介『気流のなる音』。単行本を買おう、買おうと思っていたら、文庫が出た。筑摩から初版が出たのが77年。もう26年もたっている。宮沢章夫『茫然とする技術』。図書館で借りて読んで、「文庫になったら買うぞ」と思っていた。斎藤美奈子『読者は踊る』。単行本のときも、文庫になったときもちょっと迷ったが、今回は「ヒメも読むだろうから、二人で楽しめればお得」と、買う理由がついたので、買った。

 迷ったのに買った本。松浦寿輝『エッフェル塔試論』。文庫で1500円もする本を買って、途中で読みたくなくなったらどうしよう、という迷い。大塚英志『みるみる小説が書ける6つのレッスン』。この前買った『キャラクター小説の書き方』があんまり感心しなかったので、まただまされるぞ、と思ったのだが「ま、いいか」と、買ってしまった。560円なら、つまらなくてもそれほどの損でもなしと思い、1500円なら読みこなせなかったら大損と思うあたりが、私の金銭感覚を表しているなあ、と線引きするために買った。佐藤雅彦『毎月新聞』本当は文庫になってから買いたかったが、この大きさがいいのだろうと買った。

 娘は、大学図書館で阿刀田高のシリーズを借りてきた。ガリバー、旧訳聖書、ギリシア神話、シェークスピア、アラビアンナイトの「知っていますか」シリーズ。ガリバーを読んでみたら面白かったから、図書館にあったのを「連休どこにもいくあてのない一家の中ですごす読書」として借りたのだと。

 今年は休みが飛び石になったことと、中国香港の風邪のせいで、海外旅行も半減。どこにも行く当てがない一家にとって「いやぁ、サーズが心配だから、海外旅行はちょっとね」と言える。
 読書三昧はいい休み方。

本日のひがみ:サーズは気にしないが、毎年金欠病


2003/04/29 火 晴れ
日常茶飯事典>みどりの日散歩コンドル設計の邸宅

 息子は事務所の手伝いに行く。私は11時にいっしょに家を出て、自転車で「恒例みどりの日公園めぐり」に行く。

 いつも最初は駅前の公園。去年と同じく、エコロジーリサイクルフリマをやっていた。帽子を忘れたので、100円くらいの帽子があったら買おうと思って寄ったのだが、ちょうどいい帽子はなかった。それで鍋がさめないように温めておくプレートを買った。100円と値がついていたが売り子の方から「50円にしときます」というので、もし使い物にならないような品でも、50円なら悔しくない、と買った。

 古河庭園に12時に着いた。コンドル設計の旧古河虎之助邸が、1時からガイドつきで公開されるというので、庭で12時半まで待つ。12時45分から当日受け付け分が始まるというので、少し早めに受付へ行ったが、もう20人くらい並んでいた。名前電話番号を書いて、525円入館料を払った。庭園は東京都の管轄だが、邸宅の管理をしているのはニューオオタニホテルの「大谷美術館」

 ガイドは、アルバイトの大学生坪井嬢19才。坪井嬢のお姉さんはこの邸宅でピアノのBGM演奏係などをしていて、去年の7月にここを借り切って結婚式を挙げたそう。貸し切り代金30万のほか、衣裳食事代などはほかのホテルの結婚式と同程度の料金だって。

 1階部分は客用のスペースなので、ビリヤード室、食堂など。庭園美術館の旧朝香の宮邸と同じような感じ。2階は、和室のプライベートスペース。朝香の宮邸はプライベートスペースも洋室だったと思う。
 足尾銅山の古河一族は男爵を受爵してもそこはやはり成金で、根っからの貴族じゃないから、プライベートには和室が必要だったとみえる。

 建築の専門家じゃないから、ようはわからないのだが、朝香の宮邸や駒場近代文学館になっている旧前田邸など洋風建築は、どうも西欧本場の邸宅に比べ、豪華さに劣るような気がする。
 それに対し数寄屋の家や茶室などは簡素な作りであっても、ひとつの宇宙を構成していて、広がりが見事と感じる。身びいきなのか、宇宙観の感じ方の違いなのか。

 今日の散歩テーマは「コンドル」ということにして、上野の岩崎邸へ行く。2時半すぎに着いたが、洋館の公開が始まったばかりなので、長蛇の列。1時間待ちという。

 それで、近くの天ぷらやに入って昼ご飯にした。天久、かき揚げ丼2000円。そりゃうまいことはうまいが、私ならてんやの600円かき揚げ丼で十分だ、と思った。愛想のないおばさんが二人でやっていた。お茶おかわりを頼んだが「あ、今お湯が終わったのでちょっと待って」と、言われたまま忘れられた。もう行くこともないだろうが、まあ、わたしのようなフリの一見さんは相手にしていない店だろうから、私が行かなくても商売繁昌は続くだろう。

 岩崎邸へ戻っても、列の長さは減っていなかった。洋館はまた来ればいいから、庭と和館だけ見て戻る。

 小石川植物園は、閉園時間で入れず、六義園へ。駒込から住宅街と染井霊園の中を抜けて西ヶ原商店街霜降商店街を通る。

 今日は散歩のおまけつき。「おふろセット」を持ってきたので、今月新装開店した「やなぎ湯」に寄る。ジェットバスとか、露天風呂もある。今日の露天風呂はワイン風呂。
 打たせ湯で、腰や肩に水流をあてる。ほぐれる心身。人もあまり混んでいなくてよかった。風呂上がりにロビーで、ビールを飲む。

 7時に帰宅。息子は、「メッセンジャーを2件やって、事務所の洗濯して買い物して、11時から5時までの拘束で働いて四千円」のアルバイトだった。娘は夕方まで寝ていて、「腹減った」という。唐揚げを揚げて、西ヶ原商店街で買ったお総菜レンコンはさみ揚げと含め煮で夕ご飯にした。

本日のつらみ:かき揚げ丼にお茶サービスなし


2003/04/30 水くもり時々雨
日常茶飯事典>自転車ポタリング

 午前中Aダンス。

 午後、昨日行けなかった小石川植物園に行こうかと思ったが、雨の具合が分からないので、やめにした。

 昨日の自転車ポタリング、楽しかったが、小石川植物園に入れなかったのだけが残念。
 上野の岩崎邸を3時半過ぎに出てから、急いで小石川植物園へ。4時2分前に着いた。4時閉門4時半閉園。しかし係りのおじいさんは「閉門時間だよ」と言って入れてくれなかった。
 あきらめて自転車を回したら4時のチャイムが鳴った。つまり、おじいさんは閉門時刻前なのに、門を開閉する自分の権限を示すために「終了」と言ったのだ。

 でも、定年後の楽しみとしてこれくらいの「権限を誇示する」しかないのだろう、とあきらめた。閉門2分前に来た人に対して、「園内にいられるのは、あと30分しかないですよ」と言いながら入れてくれる人もいるだろうし、「閉門」のひとことで、自分の権限を示したい人もいる。いろいろである。小石川から六義園へ向かう。

 六義園は通常5時閉園のところ1時間延長されていて、入ることができた。しだれ桜は葉桜になっている。ソメイヨシノではなく江戸彼岸桜だと説明が書いてあった。

 今年の春休み、このしだれ桜の夜桜ライトアップをはじめて見たのだった。
 夜8時、駒込で降りて、夜桜ライトアップへ。とても混んでいた。東京に引っ越して18年になるのに、ここの夜桜を見るのは初めてだと思ったら、ライトアップが始まったのは去年から。去年好評だったので、今年も文京区が実施したのだって。去年は舅の葬式、姉の葬式で、夜桜見物どころではなかった。

 4月10日を「桜吹雪忌」と呼ぶことにしたと、くらげんBBSに書き込み。「去年はホスピスへ向かう救急車のなかから桜を見たね、桜を見るたびに悲しくなるが、それでも桜は美しい」と。

 4月末の今は、葉桜若葉が美しい。もみじの若葉も。桜は花を、もみじは紅葉をめでるものではあるが、若葉の生命力というのも、人を元気にさせてくれる。

本日のうらみ:時間に律儀すぎる門番


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20150429
 上旬は花冷えという優雅な名も似合わないくらいの冷え冷えとした4月。下旬は一転7月の気温という夏日つづき。
 体の不調を天候不順のせいにしつつも、老化のボロ身を認めざるを得なくて、元気自慢健康自慢の鼻をへし折られてしおれています。

 新学期の体制も、ようようかたまって、7月までは3つの私立大学6つのクラスで6種類の授業。相変わらずの自転車操業。おまけに4月29日は世間様のゴールデンウィーク突入を横目に「29日は普通授業日とする」という大学方針に従って出講。なんて働き者なんでしょといいながら、老骨にむち打っています。
 みなさまのゴールデンウイークが楽しい日々でありますように。
コメント (4)
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