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ぽかぽか春庭「2003年の歌舞伎座」

2016-01-27 00:00:01 | エッセイ、コラム
20160127
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記1月(6)2003年の歌舞伎座

2003年三色七味日記1月再録です。
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2003/01/23 木 午前中雪、午後雨 
ジャパニーズアンドロメダシアター>歌舞伎座

 葉書で応募し、歌舞伎座の券が一枚あたったので、雪の中見に行った。今日は東銀座で降りることを確かめて、地下鉄の出口を出ると、ちゃんと目の前に歌舞伎座があった。

 でも、雨だから早めに出ていこうと思って、早く出過ぎたので、3時に着いてしまった。4時半開演まで時間があるので、ドトールに入ってコーヒーをいっぱい。開演まで時間をつぶそうとしたが、おっさんたちのたばこが煙くて長居できない。
 雨の中外に出た。老舗らしい鬘屋とか、面白そうな地域ではあるが、どしゃぶりのような雨だったので、歩けない。ぎんだこ本店があったのでたこ焼き買って、交差点の大阪寿司の店であなごちらしとお茶を買って、歌舞伎座に戻る。

 4時から開場。解説イヤホンを借りた。どうせ3階の一番はしっこだろうから、よく見えない分、解説でも聞いていなければと思って。劇場で解説イヤホンを借りるのは初めての経験だったので、貸し出し料金のほか、保証金を1000円払うことも知らなかった。

 だいたい、歌舞伎座に来るのだって、四半世紀ぶりのことなのだ。大学院で演劇学の聴講をしていたころ、郡司正勝さんか池田弥三郎さんのどちらかが、学生のために券を配っていたのをもらったように思う。自分で「一幕見」の券を買ったときもあったかもしれない。もはや記憶は定かではない。

 今日の席は3階の一番うしろ「わ列7番」だった。「わ列」のそのまたうしろは「1幕立ち見席」。学生のとき座ったのは、この1幕立ち見だったような気もする。

 NHKの3チャンネルで放送するテレビカメラが入っていたので、中盤後半だれがちな日にちだが、役者も気合いがはいっていた。今日の演技が永久保存版になるかもしれないんだから。

 夜の部は、『寺子屋』松王幸四郎、源藏三津五郎、戸浪福助、千代玉三郎。清元舞踊が『保名』芝翫、『助六』助六団十郎、新兵衛菊五郎、意休左団次、などなどの初春ご祝儀配役。見に来る人は、演技がどうこ踊りがどうこうより、1月にお祝い気分になれればいいのである。

 特に助六の三味線は「河東節一寸見会」という大店や会社社長などの趣味の会が日替わりで日頃の芸を発表する場になっているとかで、そちらの関係の応援観客も多く、場内はじいさんばあさんでいっぱい。

 同じ歌舞伎を見るなら、浅草歌舞伎の若手のほうがよさそうだったが、こちらは完売。キャンセル待ち当日券を求めるギャルファンたちが列を作っているそう。はたして浅草歌舞伎を見た人たちの何人が歌舞伎を引き続き見ていく層になるのだろうか。少なくとも歌舞伎座の観客を見た限りでは、このじいさんばあさん観客が死んじゃったら、興行が成り立つのかしらと心配になるのだが。

 寺子屋の「主君のあとつぎを守るために自分の子供を身代わりに殺させる松王夫婦」と「主君のあとつぎ若君を守るために、赤の他人の子供を殺してしまう源藏夫婦」がいっしょになってどんなに嘆いて見せても、「やっぱこの殺人、まずいよねぇ」という気持ちがぬけない。
 「主君のためなら我が子も殺すのが臣下のつとめ」という価値観が変わってしまった以上、この芝居は正月草々どういう気分で見ればいいんだろう。

 助六は曾我兄弟仇討ちだけど、こっちは名刀「友切丸」を探すクエストもの変形だから、揚巻や白玉の衣裳を見せるだけでも正月気分でよろしい。

 小林恭二『歌舞伎の日』を芝居にしたらいいのになあ。

本日のひがみ:一月らしい晴れ着でロビーを埋めるオバサンたち。招待券入場のオバサンは、雨の中を歩き回ったジーンズが濡れて冷たい


2003/01/24 金 晴れ 
日常茶飯事典>トロフィ

 ビデオ会話3コマ。

 お店のショウウィンドウにトロフィが並んでいるのをじっと見ていたら、「なんでそんなもの見てるん」と娘が聞く。
 息子がスイミングに行っているときに、1日も休まないで行くと皆勤賞でトロフィを貰えて、2,3日の欠席だと精勤賞でメダルがもらえた。
 1年生のときはメダルで、2年生のとき絶対にトロフィをもらうんだってはりきって休まないで通ったのに、おじいちゃんの法事で休まなくちゃならなくなった。どうしても休むのはいやというので、それじゃ、スイミングのトロフィと同じのをお母さんが買ってあげるから、休んで法事に行こうって約束した。だけど、結局トロフィを買わないですぎてしまった。

 「オトート君は何年たっても、お母さんはトロフィを買ってくれなかったって言うんだよ。トロフィ買うよりゲームソフトの方が遊べるし無駄がないと思って、トロフィのかわりにソフト買ったような気がするけど、やっぱりあのとき、無駄でもトロフィ買ってあげればよかったなあって、後悔している。今、買おうかな」
 「そんなもの、中学生になってからもらったって、うれしくともなんともないよ。時期のもん」と、娘は笑う。
 親からみたら役にも立たず、無駄なもののように思えるトロフィ。子供のそのときの気持ちでは、ものすごく欲しいものだったのに。

 息子は、学童クラブに通っている頃、友達がやっているテスト教材のおまけが欲しくて、「テストやりたい」と言っていた。そのときは、「小学生は遊ぶのが仕事だから、学童でいっぱい遊ぶのが一番だよ」と言ってテストをとってやらなかった。
 今、息子は、「どうしてあのころ、あんなにテストのおまけがすごくいいものに思えたんだろう。顕微鏡とかカメラとか、すごく安物のおまけだったって、今ならわかるけどなあ」と述懐。
 今は「進研ゼミでもZ会でもいいから、添削テストやりなさいよ」と、いくら言っても「やりたくない。時間がない」一点張り。なぜ時間がないかというと、ゲームに専念しているからである。

 う~ん、何のおまけをつけたら、通信教材テストをやる気にになるのだろうか。「そりゃ、ゲーム本体とソフトでしょ」
 「でも、ゲームソフトが増えたら、ますますゲームに専念の時間が増えて、結局テストやらないんじゃないの」「それが、わかっているなら、通信教材やらせようなんて思わない方がいいよ」
 
本日のつらみ:買ってあげなかったトロフィ

2003/01/25 土 晴れ 
日常茶飯事典>レンタル着物

 娘と私は12時半に駅に着いた。スモモとランチを食べてから、来年の成人式着物展示予約会。

 娘はたんす屋の着物が小さくて前がはだけたので「とにかくサイズが合えばいい」という気分になっている。
 LLサイズの着物は、仕立て上がっているのが、二枚。黒地に刺繍のと、ピンク地に花柄のとふたつだけ。これから仕立てるのは青があった。娘は青のほうが気に入ったのだが、仕立て代金が6万かかると聞いて、「6万現金でくれるなら、ピンクでいいや」という。

 一式レンタルと着付け写真撮影セット。「20歳のお祝いは一生に一度のことだから、6万円高くても気に入った方を着ればいいのに」とスモモは言う。ヒメは、「その6万円をお金でもらって、成人式記念旅行をする」というので、ま、それでもよし。

 それから100円ショップでオルゴールとか、必要のないものも買う。オルゴールの音が今でも好き。小学生のころ欲しくてたまらなかったのに、買って貰えなかったもののひとつがオルゴールなのだ。
 文房具や本ならすぐ買ってくれる母だったが、オルゴールのような趣味の品は「稼げるようになったら自分で買いな」と言っていた。中学生のとき、こずかいを貯めて自分で買った。1ヶ月のこずかいが500円くらいのとき、オルゴールひとつ3000円くらいしたように思う。
 あのオルゴールどこへ行ってしまったのだろう。引っ越しのどこかでなくなった。

 オルゴールの小さな音色。100円だって。やすっ。

本日のうらみ:かあさん、あの時のオルゴール、どこへいったんでしょうね

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20160127
 息子に水泳教室を一日も休まなかったごほうびのトロフィを買ってやれなかった悔いは、ずっと心にひっかかっています。息子も、今では小学生のころのうちの経済がどうだったのか理解できる年ですから、貧乏な母を恨みに思ったりはしていないでしょうが、あのころにもどって、息子があんなにほしがったトロフィを買ってあげたい、という切ない思いがこみあげてきます。

 貧乏でも必死で生きてきて、けんめいに今日まできたのだ、ということは誇りに思っていますが、それでも、どうしてあのとき数千円のトロフィを買うことを自分に許さなかったのか。無駄な出費をいっさいしない、という生活、ときにはうるおいも必要だったのに、、、、

 むろん、今も貧乏です。節約して暮らしています。7ドル850円のランチを「高っ」と思う感覚で生活しています。でも、どんな貧乏でも、うるおいというものが必要なことは、この年になるとわかってきたので、たまには美味しいもの食べて、家族と行楽(お金かけない行楽ですが)もして、せいいっぱい楽しんで生きようと思っています。

<つづく> 
コメント
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