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ぽかぽか春庭「2003年の古本と印税」

2016-01-21 00:00:01 | エッセイ、コラム
20160121
ぽかぽか春庭知恵の輪日記>2003三色七味日記1月(2)2003年の古本と印税

 2003年の三色七味日記1月再録です。
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2003/01/06 月 晴れ 
 午前中漢字作文2コマ。タイのギーは雪見にはまり、北海道へ行っていて、まだ戻ってこない。「先生、タイには雪がないんです。日本に留学している間に、いっぱいいっぱい雪がみたい」と冬休み前に言っていたギー。「授業を休むな」とは言えなかった。一生分、たっぷり雪を見ておいで。

 古本屋「たらの芽書店」で「海辺のカフカ上下」と「憂い顔の童子」を半額で買う。3冊で3700円。海辺のカフカは売れているから古本でいいけど、「憂い顔」にはちょっと気がとがめる。去年聞きに行った講演会で、「売れていない」と大江が言っていたから、ちゃんと大江が印税もらえるように新刊で買おうと思っていたのだ。
 でも、大江だって私が印税分払わなかったら生活できないような人じゃないからいいか。花崎皐平は、次こそ新刊を買おう。こういう人にこそちゃんと印税払わなくちゃ。

本日のそねみ:ハルキの印税生活


2003/01/07 火 晴れ
ニッポニア教師日誌>寒中見舞いハガキ

 漢字会話2コマ。

 蟹麿、私の寒中見舞いカードをとても喜んでくれた。
 蟹麿に送ったのは、NHKで何年も前にもらった「徳川慶喜」の番宣葉書。もらったまま使い道がないからどうしようと思っていた。国際関係論専攻の蟹麿は江戸時代の日本海外交流史に興味があり、「サムライ」大好きと言っていたのを思い出し、侍や街娘の扮装の出演者が並ぶ葉書を喜ぶだろうと送ったのだ。
 3組の人へは文楽切り絵葉書、1組と2組の人へは日本の冬景色絵はがき。

本日のすみ:一応、宛名は墨の文字。筆ペンですが


2003/01/08 水 晴れ
ジャパニーズアンドロメダシアター>『ロイヤル・テンネンバウム』

 午前中Aダンス。自習。
 午後娘メといっしょに行って、ハイタウンマンション4階、夫の事務所引っ越し先を見た。これまでの事務所よりは格段にレベルアップの部屋だが、家賃も大幅アップ。事務所維持ができるのかという心配もある。ま、年中無休の「父さんは倒産しそう」会社だから、倒れたらそのときのこと。

 娘は「お父さんは、口で言えないけれど、お母さんが大好きなんだよ、それはわかってあげて」と父親を弁護する。娘は父をわかってあげてもいいけれど、私には夫がわからん。一度胸の中にできあがった氷山は解けない。タイタニックが衝突して、氷山を粉砕してくれる?

 娘と『このすばらしき世界』『ロイヤル・テンネンバウム』を見た。
 ロイヤルは、家族再生物語のひとつ。アメリカなら、よくあるかもしれない家族崩壊と再生。長男も次男も養女もそれぞれに立ち直ってよかったね、で終わる。

 ロイヤルは10年前に別居して、7年音信不通だった妻にむかって「ずっと愛していた」などとぬけぬけと言う。こういうところは「言葉で表現しなければ、愛していることにはならない」国なんだろうなあと思う。

本日のうらみ:私は結婚以来、その手の言葉をきいたことがない。ぬけぬけとでもいいから、言ってごらんなさい!


2003/01/09 木 晴れ 
ジャパニーズアンドロメダシアター>『このすばらしき世界』

 日本事情作文2コマ。期末テスト実施。

 期末テストの監督をしながら、昨日見た映画をぼうっと思い出す
 『このすばらしき世界』は、岩波ホールでやっていたとき見逃した。高野悦子のめがねにかなった映画なら、見ておいてもいい、というミーハー感覚でみたが、とてもいい映画だった。戦時下のチェコの人々の生活を初めて知った。

 第二次世界大戦の終末に近い、チェコの小さな町。ヨゼフ(ボレスラフ・ポリープカ)とマリエ(アンナ・シィシェコヴァー)の夫婦は子供に恵まれず、ヨゼフは寂しい毎日をおくっていた。
 そんな時、ポーランドの収容所を脱走した、ダヴィドがヨゼフの家に助けを求めてあらわれた。ユダヤ人ダヴィド(チョンゴル・カッシャイ)はヨゼフの元上司の息子。ヨゼフが匿わなければ、確実に彼はナチに殺される。

 秘密を抱え込んだヨゼフとマリエは、近所の目を誤魔化そうとして、ドイツ人の仕事を手伝う。しかし、マリエに横恋慕しているドイツ系チェコ人のホルスト(ヤロスラフ・ドゥシニク)がたびたび家に出入りし、隠し事をしているのではないかと疑われる。

 今までのユダヤ人の虐殺を語る映画とは違う点。今までの映画はドイツ人は加害者、ユダヤ人は被害者、そして周辺諸国の人々も巻き込まれたかわいそうな人たち、として型ができていた。しかし、『このすばらしき世界』で描かれている人々は、立場が変わればみんな悪魔になってしまう弱い人間。加害側も被害側も双方の姿を含めて、戦時下の悲惨さが描かれている。

 ユダヤ人収容所で、ダビィドの妹は「両親を殴り殺せ」と命じられる。「両親を殺せばおまえの命は助けよう」と。親は目で「殺していいよ」と娘に呼びかける。しかし、親を殺した後、娘が助けてもらえるという保証はない。娘は加害を命じられた被害者。殺す側と殺される側が同じ立場なのだ。

 ドイツ人が力を持っている時、ドイツ人は威張り、人々はへつらったり、自分が助かる為に黙っていたり、隣人を密告したりする。ドイツ人が負けると、チェコ人は一転して、軍人だけではなく、ドイツ人の障害者、女性、子供達にまで、殴る蹴る投獄する。被害を受けた側は、自分の受けた仕打ちを繰り返す。自分が酷い目にあったことを反転させ、自分が強くなれば、弱くなった人に復讐するのだ。
 ダビットの家を接収して住んでいたドイツ人将校の家族も末路は悲惨。対独協力者が一夜にして国賊として告発される側にまわる。
 中国や朝鮮でも同じ事が行われたのだろうと思う。対日協力者は日本敗戦となるや、漢姦として裁かれた。

 過ちをおかさない人間はいない。また、人間は、立場状況が変わると、被害者にもなり加害者になる。そんな弱い人間を、弱いままに、英雄にもなれば卑屈なへつらい人間にもなる存在として、描いていく。加害者と被害者は、表裏一体のもの。
 そんな弱さをかかえた人間達が、弱い中で助け合って生きていく姿。弱い人間でも、弱いなりに助け合い励まし合い影響しあっていくものなのだ。映画の原題はチェコ語で「私たちは共に助けあわねば」

 ラストシーン、ダビィドを匿っていたことが、明らかにされる。「ドイツ協力者として裁かれる」から一転して、「ドイツに抵抗した善良な市民」として讃えられ、ヨゼフ夫婦は助かる。

 ヨゼフは自分では妻に与えてやれなかった「神からのさずかり子」をだいて、街を歩く。ラストに流れる音楽は、バッハの『マタイ受難曲』のアリア「神よ、憐れみたまえ」。

本日のひがみ:団地2DKの住まいに「助け合うご近所さん」は、いない

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20160121
 20日夕方、大学が停電になってしまい、パソコンはバッテリーで動かせるが、手元の教科書を見てキーボードつかうのが不自由。タッチタイピングできるが、モト原稿みえないのじゃ、試験問題作りようもなく、中間試験問題の作成を中断する。
 
 大学が停電の夕方に帰宅するとたいてい宿舎も停電中なのだけれど、20日夜は宿舎の電気はついていました。お、めずらし。ありがたや。しかし、断水。夕食つくるのもめんどうだし、タンランバス停で買った焼きトウモロコシをほおばる。前にふかしトウモロコシにあたったので、ずっと買わないでいたのだけれど、目の前の炭火コンロで焼いているので、こんがり焼けたトウモロコシを1本買ってみました。家で醤油を少したらして食べたら、とてもおいしかったです。

 20日のランチは、日本の商社なんぞの社用族がご贔屓にしている神戸屋という焼き肉屋の新春スペシャルランチ大サービス、というのを留学生におごりました。ひごろ大学食堂の1500チャット150円のミャンマーランチですませているのですが、たまには日本食の店にでも、と。
 さすが商社接待用の店だけに、中はミャンマーめしやとは大ちがいの小ぎれいなインテリア。個室でのお食事。7ドル9100チャット840円のランチは商社員たちにしてみれば、格安でしょうけど、大学食堂150円ランチからしたら5倍以上の価格。

 サラダと肉、ごはん味噌汁セット。炭火こんろで薄切りのタンやロース肉を焼いて、ひさしぶりにちゃんとかみ切れる肉を食べました。3人分の支払い、32000チャット。3200円。日本じゃ一人前千円くらいのランチじゃおごったことにもならんけれど、当地ではおおごちそうの気分。

 おいしかったので、サービスランチやっているうちに、もう一度食べにこようっと。
 留学生が言うには、大学食堂のランチだってじゅうぶんにうまいと思って食べているのだけれど、たまにはそれなりの値段の和食や韓国料理も食べたいね、と。いやいや学生は贅沢しちゃいけません。貧乏生活してこその海外留学、、、、イマドキはそんなことないのか。 

 断水、ついに20日深夜から21日朝まで連続24時間以上。20日の日中ちょっと復活していたみたいだけれど、仕事にいっていたから、部屋の水を溜めておくことができませんでした。飲み水はボトルの水がまだあるからいいけれど、トイレは流せないし、シャワーもできず、お茶碗洗えない。人々は、家に大きなカメを持っていて、くみ置きはしてあるのだろうけれど、私のくみ置きバケツ一杯はすぐになくなってしまいました。水のない生活、不自由です。
 
<つづく>
コメント (2)
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