gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

見守り育てる心

2013-07-02 22:59:00 | 花火

▲昨年の3日の天地人花火。新潟の花火師さん合同版である

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 今年の長岡花火の「天地人花火」は2日は野村花火、3日は小千谷煙火となった。え、じゃあ、マルゴーさんは…? ご心配なく。「この空の花」花火を昨年に引き続き、マルゴーさんが2日とも打ち上げ。多分2、3日で違うスタイルになるようだ(豪華だ!!)。

 で、花火好きの間でささやかれる「小千谷煙火で『天地人』大丈夫かいな?」という声。
 正直、地元の私ですら、胸を叩いて「任せてくれ!」とは言えない。だからって、最初からネガティブで見るのはやめて欲しい、というのが真情。

 長岡の花火が「越後の花火」を代表するものである限り、地元の煙火店さんがその中心にきちんと立つべきだと思うからなの。
 確かに、全国的に優秀な花火師さんが贅を尽くして高いいい玉を持ってきて長岡というフィールドでバシバシ上げれば、それはそれで素晴らしい。大絶賛である。
 でも、それって「長岡」の花火なのか…。



▲クライアントの提供花火は小千谷煙火さんが担当している

 長岡の花火は、長いこと嘉瀬煙火工業が引っ張ってきた。戦争、そしてシベリア抑留から帰ってきた嘉瀬老人(仕方ないよ、私が子どものころからこの名前で朝日山のCMに出ていたんだもの・笑)が、三尺玉を復活させ(長岡は戦前から三尺玉を何発も上げていた)、時間をかけて努力して工夫して今の長岡三尺のスタイルができた。
 今、嘉瀬煙火は花火製造から手を引いた。現在は玉を他所から仕入れて打ち上げを行っている。一時息子が製造を再開するというニュースがあったが、あれから何年経ってもその成果が表に出てこないことを考えると、物理的問題(花火工場は周囲の安全確保が大変で、嘉瀬煙火が花火製造から手を引いたのも周りに住宅が進出してきたからである)て頓挫しているのかもしれない。
 では、長岡の花火は誰が引き継ぐのか…。

 現在の長岡花火は、嘉瀬煙火(長岡市)、新潟煙火(新潟市)、阿部煙火(加茂市)、小千谷煙火(小千谷市)の4社合同打ち上げとなっている。三尺は阿部煙火と小千谷煙火が担当している。なかでも、小千谷煙火は嘉瀬さんから三尺の作り方を引き継いだ煙火店である。
 (阿部さんとこは日本一三尺玉を製造している煙火店だろう。某大玉花火大会へも供出しているそうだし…)




▲匠の花火での小千谷煙火の打ち上げ「昇小花菊花彩光」。私の記憶では、分砲は昔から多くみられる小千谷煙火の花火である。私は子どものころから「マッチ花火」と呼んでいた


 それにね、どんどん膨らむ花火総費用。
 その膨らむ部分の多くは警備費ってことを一般の人は知らない。花火好きでもそこまで気付く人はかなりのマニアだ。つまり、どんなに花火大会が有名になっても、花火そのものにかけるお金はあまり伸びていないというのが現実だ。
 しかも長岡花火は100%スポンサーによる打上である。実は花火本体の費用は税金から拠出されていないのである(警備費とか周辺案件には税金が使われる)。それはすなわち、「花火の経済性」も求められるということ。これは全国の花火大会においても共通の課題であろう。

 マルゴーさんや野村さんの手の込んだスゴイ玉は、同じ尺でも全然価格が違うってこと。
 一時の花ならPLみたいに金に飽かせて全国のトップクラス花火師(と書いて「もさ」と読む)を呼び寄せればよい。だが長岡はそういう花火とは違う。

 長岡花火は競技会ではない。戦災復興を願う祭りとして復活した。近年はそこに震災復興も加わり、そして過去には戊辰北越戦争での敗戦も加わり、幾重にも重なる復活というキーワードがフェニックスを生み、今に至っている。
 だからこそ地元の花火師さんに頑張ってほしいわけだ。中でも、小千谷煙火さんは三尺玉だけではなく、かなりの「部品」を長岡に納入している。長岡の花火を「下支え」しているわけだ。だからこそ、野村さんと同レベルとは多分今は言い難いけれど(ゴメン!)、迫力ある花火を組み立てて欲しいわけなのだよ。

 しっかりと地面に足を付けた花火大会であってほしいと願う。
 それは一朝一夕にできることではないと思う。
 でも、やらせねばできない。



 長岡出身の山本五十六は言った。
 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。




 かつて嘉瀬さんは何回も正三尺玉の打ち上げを失敗した。その時、スポンサーの蔵元の社長は言った
 「嘉瀬さん、今年は残念だったけれど、気にしなくていいよ、来年は立派な三尺玉を打上げて下さいね、楽しみにして待っているから」

 今、必要なのはこういう見守る姿勢なのではないかと思う…。



▲三尺玉も小千谷煙火が半分担当。これはちょっと形が乱れているが…。