はるか昔、昔、私が千葉高校山岳部時代(なんと半世紀も前のことになる・・・)の頃、山行での調理用火の元は、関東上越・福島との県境の尾根歩きをしていた夏合宿では、その辺りから集めた薪であった。一度に1升以上炊ける大型の羽釜を背負うのは1年生の役目であった。キスリングザックの背中にくくりつけると、荷物を下ろしても、その上に座れず、背負うにも面倒であった。
そして、次に重要な火器が、石油ストーブ(コンロ)であった。 当時のメーカー名はスヴェアとかオプティマスという名称の欧州製品であった。そして、現在、ぶなの森自然学校がこだわって使っているのが、これと構造がほぼ同じの日本製のマナスルという商品名のコンロである。調圧弁がついて、当時のものと比べるとより使いやすくなっているらしい。
マナスルとは、日本人が初登頂したヒマラヤの8000m峰の名前です。
この道具は、子どもの野外活動にとてもよい物だと考えて、今でも愛用している。まずは、ガスボンベコンロよりのように簡単に火がつけられない、また燃料ボンベのように燃料費が高くないし、その空き缶の処理の必要がない。ガソリンコンロのように気化しないので、危険性が低いことがあげられます。
子どもにとって簡単でないが、しっかりと覚えると使いこなすことができるところがいい。いろいろ考え工夫しながら使用しなければならないところもいい。 まずは手順にそって組み立てなければならない。燃料が石油なので、また一般ストーブのように芯に火をつけるのではなくて、液体を気化させなければならない。プレヒーティングする必要があり、上級生にはその理屈を説明することができる。 火をつけるタイミング(本体に取り付けられている小さなポンプを押して圧力を高める)、火力の調節(圧力を加減する)など、しっかりと道具と向かい合わないことには火がつかないのだ。
鍋を乗せる五徳(3本なのだが)は高さがあるので、鍋を安定させなければならない、沸騰状態で倒せば大やけどの危険性もある。自分や仲間の身の安全にも気をつけながら使わなければならない。
今日のプログラムは、小学生の頃からの参加者ボランティアのCHNが指導。 組み立て火をつけて、お湯を沸かして、お茶を飲むというだけの単純な活動なのですが、これが上記の理由からなかなか深い活動になります。
自分で点けた火で沸かした湯で飲むお茶は格別な味がします。
ところが、このマナスルは、修理するための各部分パーツがおそろしく高騰していて、小さなパッキンひとつも何百円もしちゃうのです。 そして、そろそろ製造が中止されるとか・・・。
残念至極なり。