2012.7.3(火)雨
シデ山のすず岩事件以来地域研究もやる気がなくなって新しいアイデアも浮かんでこない。現地訪問を予定している猪鼻(いのはな)、多門院(たもんいん)、生畑(きはた)なども腰が上がらないし、書きかけの原稿も一向に先に進まない。イライラがつのるばかりだが、幸か不幸か今朝から雨が降っている。実は「綾部地域の地質」という研究書を府立図書館から送って頂いていたのだが、館内閲覧書で持ち帰ることが出来ないので綾部図書館で閲覧しなければいけない。一ヶ月の期間があるのだが、こんな機会で無くては読書なんて出来ないなと思い昼過ぎから出かける。将に雨読である。
「綾部地域の地質」木村克己、牧本博、吉岡敏和著 地質研究所発行 平成元年
全国各地の地質図の地域についての研究が網羅されており、地域の地質を知るには最適な研究書である。おそらく筆者はその地質図を作成された方なのだろう。
専門家で無いわたしが図書館で閲覧してすぐに理解できるようなしろものではないが、古書店でも扱っているので必要ならば購入することも可能だ。
ただし綾部地域といっても綾部市全体が対象では無くて5万分の1地質図綾部の地域が対象であり、上林は口上林以西となる。つまり中上林、奥上林は舞鶴地域となるわけだ。逆に三和町、日吉町、和知町、瑞穂町(旧町名)などは範囲内で参考になる。従ってこの範囲には和知の鐘打鉱山、和知鉱山、白土鉱山(いずれもタングステン、錫等)や日吉、美山の層状マンガン鉱床、三和町の炉材珪石鉱床、質志の鍾乳洞、石灰岩など興味ある鉱床があって参考になる。これら鉱物が地質とどう関連するのか、歴史的な事柄や民俗学的なことと地質が如何に関連するのか、わたしの知りたいところでもある。もちろん本書では人文的な事項については一切語られることはなく純粋に科学的、物理学的、地学的に記述されているばかりであって、人文的な要素と混合するのはわたしの脳内で行うことであって、それが読書の楽しみの一つでもある。
例えば古文書に三和町大身(おおみ)で江戸時代には石灰(いしばい)が焼かれていたというのがあったが、はたしてこの地に石灰岩が産したというのは聞いたことも無いといぶかしがっていたのだが、本書文中にレンズ状に石灰岩が存在するという風にあって、納得した次第である。
また三和町上川合のわたしの生家の向かいの山に有った珪石鉱山はこの地域でも最大の鉱山で山の神鉱山、小谷鉱山、加賀山川合鉱山などと呼ばれていたそうだ。毎日否が応でも眼に入り、子供時代の探検の対象であった鉱山が実はこういうものであったのかというのがよく解った。例えば地元の人でもあの鉱山で何が掘られていて、それが何に使われたのか知っている人は少ないだろう。そんなことが川合とは何の所縁も無い人がしっかりと書いているのだ。これって面白いことだと思う。
わたしの生家から正面の山を見たものである。現在は木が生い茂って解らないが、山頂直下に大きなハゲがあって坑道が数本有った。麓の府道までケーブルが設置され、鉱石を運んでいた。坑道附近、ケーブル周辺はガレ場となり長い間木々は育たなかった。竹藪の左下に山の神があり、山の神鉱山と言われたのはこの鉱山だろう。
府道脇にある山の神、この上部にもズリがあったように思うのだが。
山の右奥にも鉱山がありこれもケーブルで深山林道に降ろしていた。これが加賀山鉱山だろうか。
ケーブルの終点、ズリの中にワイヤーなど残っている。
ただ、図書館で幼稚園児の喧噪の中でいくら集中してもメモを取っても理解することは難しい。超丹波帯と鉱床の部分だけは写しを取って図書館をあとにする。なんかまたやる気が沸いてきた。
今日のじょん:白い長座布団を取られないように常に折りたたんでいたが、面倒なので夏の間はしまうことにした。するとかみさんが欲しいというので上げたのだが、座椅子を置いて取られるのを防いでいる。真ん中に置いているときは効果があるようだが、ちょっとずれておいているともうちゃっかり座っている。