畑の雑草にきれいに咲いた霜花
「おかあさんが急病です
今、救急車で K病院へ搬送中ですので
すぐに おいでください!」
施設にお願いしている母の異変を知らせる早朝の電話に、
わたしは身が震えた・・・
母が懐かしそうに話し始めた
「生まれたばかりのKちゃんを とうちゃんに逢わせたくて
抱いて 面会につれていったたいね、あんたもいっしょに」・・・
悲惨なあの世界第2次大戦、終戦も近い真冬の1月のことだ
佐賀の部隊に通信兵として出征中の夫(わたしの父)に 生まれたばかりの
長男(わたしの弟)をひと目逢わせたい・・・
父の姪をともなって 産後まもない母は満員列車にゆられて 降りしきる雪の佐賀へ
抱っこされて ひげのほほがチカチカ、炒った大豆の袋を父の手にそっとわたした
わたしは まだ6才にはなってはいなかった・・・
つい 2~3日前のこと 遠くに住む弟の誕生日に、わたしは
母の好物の巻きすしと ケーキをもって母をたずねた
「電話で お祝い言ったよ、げんきそうだったから 安心したぁ」と母がうれしそう
「そうねぇ、Kちゃんの声 聞かれてよかったね」
ささやかに2人でお祝いして帰ったばかりだったのに・・・
救急病院でわたしが目にしたものは
酸素マスクをつけられて 苦しそうに体を くの字に曲げた青白い母の顔だった
医師は
「前回より心電図が悪くなっています、様子をみて人工呼吸器をつけることになるかもしれません
なにしろ高齢ですから、急変もありうるかも・・・」
覚悟はしてはいたが、現実にこう つきつけられるとは思いもよらなかった・・・
母のためにあたらしい衣類などをそろえて ふたたび病院へ走った
もしかしたら今度は だめかもしれない
いや、強い生命力で母は いままでも何回も 危機を乗り越えてきたから
今度も きっと
「またたのみますね」の声をかならず聞けるから
自分にいいきかせながら 涙がこぼれた
元気だったころの母の姿が 繰り返し浮かんでくる・・・
もうすぐ93才の誕生日がやってくる、元気でむかえてほしい その日を・・・
切ない願いだろうか
しばらく 母の看病でお休みいたします・・・
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