『日本の風景再発見』シリーズ その10。今回は『柳川』を取り上げる。東京に人には柳川鍋くらいしか馴染みはないかもしれないが、実は柳川鍋は九州の柳川市とは関係ないというのが通説で①この泥鰌を卵とごぼうで甘く煮た鍋を考えたのが日本橋にあった柳川屋という説、②使われた鍋が九州の柳川焼きであった説、③使われた泥鰌が柳の葉っぱに似ていたからという説など諸説あるが、九州柳川で作られたという説はなく、しかも柳川市に行っても名物は鰻であって泥鰌ではない。


まあ、そんなことはどうでもいいが、西鉄福岡駅から西鉄特急で50分、西鉄柳川駅に到着する。そこからは街の中心部までタクシーで約10分、時間がある人は堀めぐりの船に乗ると1時間もかからずに沖端に到着する。この船も3社が競合しており、しかも沖の端⇒西鉄駅、西鉄駅⇒沖の端と両方あるから面白い。水路は柳川の人にとっては生活に欠かせない場所で、嫁入りも船に乗って行う位である。冬はこたつぶねになり、のんびり楽しめる。途中には神社やうなぎ供養の碑、果てはオノ・ヨーコの実家まであるから興味深い。特に雨のあと水量が増えた際に低い橋をギリギリで越える船頭さんの妙技には感心する。また、最も人が出る秋の白秋祭にはこの狭い水路をたくさんの船が行きかいそれは壮観である。

沖の端に到着するとすぐのところに北原白秋の生家が残されている。ただ、古ぼけた民家なので毎回入場はしないが。

そこから川沿いに土産物屋とうなぎ店が軒を連ねている。店で有名なのは若松屋と本吉屋、さらに新興の柳川屋、六騎(ろっきゅう)などもあるが、小生の好みは本吉屋、いつも船が横を通る掘割のあたりの店に行く。ここでは小生はうな丼やうな重は食べたことがない。メニューにはあるが、絶対に食べるのが『せいろ蒸し』。誰と混ぜた飯の上にうなぎの蒲焼を載せ、さらに錦糸卵を載せて蒸したものである。器そのものが蒸し器となっていてとにかく熱い。それを夏は汗をたらたら流しながら食べるとこれはうまい。うなぎの身もふっくらとしており、嘗て福岡に住んでおいた頃には昼食時に店の前に列ができるほどであった。

腹が膨れたあとは沖端を歩いたり、神社にお参りしたり、そして御花、これは旧城主の立花氏の邸宅であるが、今は博物館兼ホテルとなっている。とくにその洋館や旧宅、その中に並べられているお雛様やお道具、更にお庭は素晴らしい。ここはぜひ入場料を払って見学してもらいたいポイントである。

小生も一昨年の夏に久々に柳川に遊びに行ったが、船に乗る人も、街を歩く人も、土産物屋の数も大幅に減っていてたいへん寂しい思いをした。今も沖の端の魚屋に行くだけでも楽しく、クツゾコやワラスボ、ムツゴロウ、ワタリガニ(地元ではガネという)など有明海の海の幸を見るだけでも楽しい。また、かつて福永武彦の『廃市』にも描かれ、大林宣彦が映画化したほど絵になる街である柳川のようなこうした素晴らしい観光地をぜひ後世に残していきたいものである。



まあ、そんなことはどうでもいいが、西鉄福岡駅から西鉄特急で50分、西鉄柳川駅に到着する。そこからは街の中心部までタクシーで約10分、時間がある人は堀めぐりの船に乗ると1時間もかからずに沖端に到着する。この船も3社が競合しており、しかも沖の端⇒西鉄駅、西鉄駅⇒沖の端と両方あるから面白い。水路は柳川の人にとっては生活に欠かせない場所で、嫁入りも船に乗って行う位である。冬はこたつぶねになり、のんびり楽しめる。途中には神社やうなぎ供養の碑、果てはオノ・ヨーコの実家まであるから興味深い。特に雨のあと水量が増えた際に低い橋をギリギリで越える船頭さんの妙技には感心する。また、最も人が出る秋の白秋祭にはこの狭い水路をたくさんの船が行きかいそれは壮観である。

沖の端に到着するとすぐのところに北原白秋の生家が残されている。ただ、古ぼけた民家なので毎回入場はしないが。

そこから川沿いに土産物屋とうなぎ店が軒を連ねている。店で有名なのは若松屋と本吉屋、さらに新興の柳川屋、六騎(ろっきゅう)などもあるが、小生の好みは本吉屋、いつも船が横を通る掘割のあたりの店に行く。ここでは小生はうな丼やうな重は食べたことがない。メニューにはあるが、絶対に食べるのが『せいろ蒸し』。誰と混ぜた飯の上にうなぎの蒲焼を載せ、さらに錦糸卵を載せて蒸したものである。器そのものが蒸し器となっていてとにかく熱い。それを夏は汗をたらたら流しながら食べるとこれはうまい。うなぎの身もふっくらとしており、嘗て福岡に住んでおいた頃には昼食時に店の前に列ができるほどであった。

腹が膨れたあとは沖端を歩いたり、神社にお参りしたり、そして御花、これは旧城主の立花氏の邸宅であるが、今は博物館兼ホテルとなっている。とくにその洋館や旧宅、その中に並べられているお雛様やお道具、更にお庭は素晴らしい。ここはぜひ入場料を払って見学してもらいたいポイントである。

小生も一昨年の夏に久々に柳川に遊びに行ったが、船に乗る人も、街を歩く人も、土産物屋の数も大幅に減っていてたいへん寂しい思いをした。今も沖の端の魚屋に行くだけでも楽しく、クツゾコやワラスボ、ムツゴロウ、ワタリガニ(地元ではガネという)など有明海の海の幸を見るだけでも楽しい。また、かつて福永武彦の『廃市』にも描かれ、大林宣彦が映画化したほど絵になる街である柳川のようなこうした素晴らしい観光地をぜひ後世に残していきたいものである。

