いよいよ、秋。普段は『食欲の秋』であるが、たまには『美術の秋』にしようと土曜日を使って静嘉堂文庫美術館『美の競演〜静嘉堂の名宝』という美術展にお邪魔した。
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静嘉堂文庫美術館は世田谷区岡本にあり、三菱財閥を率いた岩崎弥之助、小弥太父子が所有した庭園と美術品を基礎に発足した。場所は電車で行くと成城学園前駅か二子玉川駅からバスまたはタクシーなのだが、我が家からは車の方が遥かに便利である。東名入口の先を左に入り、5分ほど行くと入口がある。駐車場は美術館の前庭なのだが、入口から登り坂のため、空いていないと敷地横の駐車場まで戻らなくてはならない。しかし、小雨が降る中、ついていて、1台分空いていた。
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ここは東京23区内とは思えない鬱蒼とした木々の中、展望の良いところに美術館は立地している。今日の目玉はこの美術館所有の曜変天目茶碗(国宝)と油滴天目茶碗(重文)など茶器の名品の競演である。
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入口にある3つの陶器は写真を撮すことが許されていた。うち『藍釉粉彩桃樹文瓶』は藍色をした水瓶であり、桃の花も美しいが裏に描かれた3匹の桃色の蝙蝠が面白い。
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一度見たかった曜変天目茶碗は3つの国宝のうち最高と言われる稲葉天目で形も中の紋様も確かに素晴らしい。徳川家から春日局に渡ったという来歴も凄いが、螺鈿のように光り輝く姿には魅了された。
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他にも山水画、狩野派の屏風、刀剣、仏画など素晴らしい物が多数。その中で私の興味をひいたのは酒井抱一の『絵手鑑』72図。カエルや紅葉とこおろぎ、ウリ、富士山、武将など多岐にわたるテーマで描かれていた。その中でカブトムシ、鶉には今にも動きそうな姿にしばし足を止めた。
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他にも野々村仁清の白鷺の香炉と唐の鴨の香炉、これだけのものが作れるのかと驚く。
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1層のみのそれほど広くない展示スペースではあるが、さすがに岩崎財閥の秘宝、充分堪能した。外に出ると庭園が広がるが、美術館自体は崖の上にあり、晴れると富士山も展望できる素晴らしい眺めであろう。
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