『久我山歳時記』(55)12月21日は冬至、つまり太陽の南中高度が最も低くなり、日の出から日の入りまでの『昼』が最も短く、『夜』が最も長くなる日である。今年の東京では日の出が6時47分、日の入が16時32分、つまり『昼』が9時間45分、『夜』が14時間15分、夜が昼より4時間30分長くなる。夏至の『昼』は14時間34分だから約5時間昼間が短くなるのである。
ただ、以前も書いた通り、日の出が最も遅いのは1月1日〜13日の6時51分でまだ遅くなっていく。しかし日の入が早いのは11月28日〜12月12日の16時28日であり、既にピークは過ぎて、だんだん日の入は遅くなっている。
冬至は今年最後の二十四節気であり、本格的な冬の始まりと位置付けられている。12月19日には東京でも初冠雪が記録されたが、七十二侯では『乃東枯(なつくさかるる)〜12月26日』『麋角解(さわしかつのおつる)〜12月30日』『雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)〜1月4日』とされている。
乃東枯は空き地を見ればイメージが掴めるが、既にススキやエノコログサなどは枯れて黄色くなり、タンポポのように葉を思い切り広げて少なく、短い太陽光をなんとか取り込もうとする植物もある。
次の麋角解は日本のことではない。日本にいる鹿のツノが落ちるのは春なのだが、『麋鹿(ミールー)』という中国の大型の鹿の角が落ちるのがこの頃らしい。
最後の雪下出麦は麦の若葉がそろそろ出て来る季節ということだが、強い麦を作るために麦踏みを行うのがかつての日本の風景であった。
この時期は草は枯れ、花は少なくなるが、今年は冬になるのが遅かったこともあり、まだ、イチョウの葉も落ちずに綺麗に黄葉している姿を見ることができる。
花は山茶花がピンクや白の花を咲かせているし、ツワブキの黄色い花も咲いている。お正月に飾られるセンリョウも赤や黄色い実を付けている姿を見ることができる。
一時に比べるとかなり減ったとはいえ、久我山でもクリスマスのイルミネーションが美しい。
また、夜が明ける時間が遅いため、普段通りの通勤途上でも空には煌々と月が輝き、さらに西の空を見ると今年は木星が驚くほど明るい光を放っている。
夜明け前(5時過ぎ)には西の低い空に木星、月の近くに見えるのは火星である。夜が長いことも悪いだけではない。(夜明けには金星は見えない)