お蕎麦屋さんの名前は『やぶ(薮)』『さらしな(更科)』『すなば(砂場)』などが有名だが、同じように『満留賀(まるか)』というのがある。その由来は1893年愛知県御津村から上京した加藤豊造に始まる。加藤は下谷区にあった三河屋そばで7年間修行したのち、1900年芝区宇田川町で三河屋という名前で蕎麦屋を開業。しかし、近くに同じ名前の店ができたことから安藤正純に相談、『満留賀』という名前をもらった。この店が繁盛して300軒近く暖簾分けしたものであると言われている。
ただ、雷門満留賀はそんな店の1軒なのかと思ったが、創業は1895年つまり、前述の加藤豊造より古いのである。
いずれが早いのかは分からないが、浅草観音通りのお店は間口が広いお店。12時少し前に店に入ったが、ここでもインバウンドの方々がメイン。先客は彼らが3組10人、日本人は1組2人のみ。私は4人席を1人で占領して鴨南蛮(1850円)を注文する。
先客のインバウンドの方々は8人が帰るもすぐに6人、4人と入ってきてとにかく外国人に人気がある。ラーメンからともかく、日本そばも人気があるようだ。
運ばれてきた鴨南蛮は鴨肉が5切れ、繊維に従って切ったネギは煮込まれ、さらに振りネギも付いてくる。店の人に『山椒はある』と聞くが、なかったので薬研堀を掛ける。
まずはツユから一口、鴨の脂が溶けだし、まったり。味はやや濃いめだが、気になるほどでもない。蕎麦は二八蕎麦、喉越しがいい。
関東では白ネギのため、太めの白髪ネギにするが、関西では青ネギのため、斜め切りが太宗。いずれもシャキシャキ感が甘さも楽しめ、これに小口切りにした振りネギを加えるのがいい。私はどちらかと言うと関西風が好みである。
鴨肉は厚みもちょうど良く、食べ応えがある。ネギと共に食べるのもいい。天ぷら蕎麦も好きだが、やはり冬は鴨南蛮を食べて温まるのが好きだ。老舗で外国語が飛び交う中、美味しく頂きました。ご馳走さまでした。
雷門満留賀
台東区浅草1ー1ー5
0338422020