都内の通勤電車が発着するホームで立喰そばを食べることはかつては普通のことであった。今でも少し郊外に出るとまだ残っているが、中心部で残っているのは北千住駅、秋葉原駅、上野駅、品川駅くらいしかなくなったように思う。もちろん私が利用する駅に限ったことではあるが。
(高崎駅)
中央線にも立ち食いそばの店はかなり残されているが、駅のコンコースや駅ビルに移り、高尾駅、八王子駅と中野駅くらいしかないような気がする。
(高尾駅)
そんな絶滅系のホームの蕎麦をわざわざ中野駅まで食べに来た。中野駅5、6番ホーム、と言ってもホームの番号は列車行き先表示板をよく見ないとわからないので注意を要する。
5番線は東西線・総武線緩行、6番線は総武線緩行が通っている。場所は新宿より、気をつけないと見逃す。
入口右手に食券の券売機があり、ここで注文を決め、食券を買い、店内に入る。券売機は現金以外に交通系のカードも利用できる。注文したのはかき揚げそば(420円)。
中に入ると小柄なおじさんが1人、愛想はまあまあ。食券を受け取ると『そばにしますか、うどんにしますか』と聞かれ、『そばで』と答える。
先客は1人、食べ終わっていてすぐに私1人になる。店の周りにはメニューや各種のポスター、新メニューが多い。
すぐに出来上がり、丼を受け取って窓側へ。もちろん席などない。七味を振り、食べ始めるが結構ツユが熱い。間違いなく富士そばより熱いのである。ふーふー言いながら元々柔らかいかき揚げを齧り、温めた茹で蕎麦を食べる。
特徴はこれといってないが、もう少しかき揚げが粉っぽくなければと思う。一方でこんなタイプのかき揚げも久しぶりである。
そばは単なる茹で蕎麦、ただ熱いのが功を奏しているのか、ツユが甘くも辛くもなくちょうどいいからなのか、食べていて不味いとも思わない。
あっという間ではないが、5分くらいで完食。途中で入ってきた青年はなぜかミニカレーのみをあっという間に食べ終わり、また、私1人。おじさんに『ご馳走さまでした。』というと『またよろしく』と言われた。ご馳走さまでした。
あじさい茶屋
中野駅5、6番ホーム上