鳩山さんが辞任のときに演説した内容は、この苦しい8ヶ月の心境を痛々しく吐露したものでした。私なりに鳩山さんの真意を推し量ると~日本という国は、自分たちの既得権益を守ることしか関心のない官僚、旧政権の政治家、マスコミがタッグを組んで情報を操作し、偏った報道をして、その一方的な報道を鵜呑みにしてしまう馬鹿な国民が政権を非難し、無罪が確定した小沢一郎を再度法廷に引っ張り出すという異常事態まで起きてしまう救い難い状態に陥ってしまった。それでも去年の総選挙で漸く実現した政権交代を再度覆す訳にいかない。明治以来の官僚支配を打破しなければ日本に未来はない。民主党は参院選でなんとしても勝利しなければならない。非難の的である自分と小沢が引く以外に民主党への信頼を取り戻す術がないと判断して、辞任を決意した。~そんなところではないでしょうか。
報道では「私も引くから小沢さんも引いてください」という部分だけが何度も放映されて、それ以外の重要な言葉は殆ど放映されなかったのです。その点だけでも、マスコミの悪質な意図がわかります。
この国のマスコミは戦時中に大本営発表をそのまま報じた時代から、一歩たりとも進歩していません。
核兵器の密約で有名な佐藤栄作がかつて「新聞はあることないこと書くから駄目だ。テレビを呼べ」と叫んだことがあります。今も昔も新聞記者は真実を伝えるためではなく、自分または新聞社の経営者が伝えたいことを伝えるために記事を書いているのです。彼らに良心の欠片でもあれば、少なくとも事実と異なる記事は書かない筈ですが、どうやらマスコミという一種の権力の内部に入った途端に自分が権力者のひとりであるかのように勘違いして、同時に良心を溝に捨ててしまうようです。暴走族だった小僧が警官になった途端に威張り散らすのと同じです。
民主主義国家では権力は国民が一時的に施政者に託すものであって、属人的なものではないのです。警察手帳を持ったり新聞に自分の記事が載ったりすると、どうしても勘違いしてしまうのでしょう。警官や新聞記者に限らず、いまの日本人の精神構造では、誰もが犯す勘違いです。日本の文化レベルはその程度だということです。戦時中の大本営発表をそのまま報じた新聞に一喜一憂した衆愚の時代から一歩たりとも進歩していないのは、実は私たち自身なのです。