日本武道館でニッポン放送開局65周年記念「あの素晴らしい歌をもう一度コンサート2019」に来ている。観客はすべて年配で、若い人は見受けられない。夫婦か女性同士、または女性のひとり客が殆どで、オッサンひとりは私だけだ。
前半のハイライトは森山良子だ。白鳥英美子とのハーモニーも凄かったが、そのあとはオペラ椿姫から「乾杯の歌」をクラシックの歌唱法で歌い、そして「聖者の行進」をスキャットを混じえながら歌う。スキャットは往年の名プレイヤー、ソニー・ロリンズ、コルトレーンなどの演奏の楽器物真似を兼ねていて、長さといい、バリエーションといい、まさに圧巻であった。歌姫というより歌のモンスターである。チケットが取れない筈だ。稀代の天才である。この人を超える歌手はそうは現れないだろう。
後半は泉谷しげるやイルカ、宇崎竜童などが登場する。泉谷の「国旗はためく下にあつまれ」を生で聞きたいものだ。
16時からの長いコンサートは20時に漸く終了。泉谷は「黒いカバン」と「春夏秋冬」の2曲と、沢田研二の応援で宇崎竜童とのユニゾンで「TOKIO」を歌った。「春夏秋冬」の歌詞の「今日ですべてが・・・」について、同年代が殆どの客席に向かって「これまでいろいろと大変なことがあっただろうが、今日は自分のための今日にしろ」と、似合わない言葉を語っていた。
太田裕美とイルカと尾崎亜美が三人で「ドタ・キャンディーズ」として登場。沢田研二の騒動を茶化したネーミングだ。振り付きで「春一番」を歌った。小室等、上條恒彦が「出発の歌」を歌った後にエンディング。コンサート名の元になった「あの素晴らしい愛をもう一度」を出演者全員と観客で熱唱。とても心地のいいコンサートだった。