映画「エルヴィス」を観た。
大ヒット上映中! 映画『エルヴィス』オフィシャルサイト。
大ヒット上映中! 映画『エルヴィス』公式サイト。音楽映画の大本命!誰もが知る名曲を、そして熱狂を体感するミュージック・エンタテイメント!
ワーナー・ブラザース映画
どうもエルヴィス・プレスリーという人は大スター過ぎて、少しも感情移入が出来なかった。それよりも、トム・ハンクスが演じた詐欺師のパーカー大佐の腹黒さと、嘘を吐いて平気でいることができる胆力には感心した。
かつて日本の新聞は「インテリが作ってヤクザが売る」と言われていたが、アメリカのスターは「才能を見つけた詐欺師が売る」という時代があったのだろう。いまでもそうかもしれないが。
トム・ハンクスは「ハドソン川の奇跡」の人格者の機長から、本作品のような品性下劣な詐欺師まで、驚異的な演技の幅の広さを見せる。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーはあまり記憶に残っていない役者だが、本作品ではエルヴィスの気の弱さが、繊細な感性での歌唱に役立った反面、自ら世間と渡り合うことができずにパーカー大佐のような人間に引っかかってしまう原因となってしまったことを上手く表現できていたと思う。
芸能は絵や音楽とは違って、存命中に売れることが条件だ。いつ売れるのか、いつ売れなくなるのか、期待と不安の振れ幅が大きいだけに、ストレスは計り知れないものがあるのかもしれない。
正直者はストレスに弱く、嘘つきはストレスに強い。日本の政治家を見ればよく分かるだろう。嘘を吐いても心が咎めないのだ。音楽に誠実だったエルヴィスは身体を崩したが、パーカー大佐は平気だった。
エルヴィスの気持ちは、感じることは出来なかったが理解することは出来たと思う。弱いエルヴィスに対して、パーカー大佐の精神性は怪物級だ。ある意味で、パーカー大佐の悪どさを見る作品であった。