三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「LA LA LAND」

2017年03月04日 | 映画・舞台・コンサート

映画「LA LA LAND」を観た。
http://gaga.ne.jp/lalaland/

 ハリウッドお得意の勧善懲悪の作品と違って基本的に悪意のある人間は登場しない。そう、つまりこの作品は、ハリウッドがもうひとつお得意の、能天気なラブストーリーなのだ。

 いまどき女優になることが夢という単純な女性は滅多にいそうもないが、そういう稀有な典型をエマ・ストーンが底知れぬ女優魂で見事に演じている。この人は不思議な女優で、映画の序盤ではひどいブスに見えるのに、後半ではとても綺麗な女性に見える。同じエマでもどこまでも美人のエマ・ワトソンが演じたら、オーディションに落ちて絶望する様子にもやや真実味が欠けていただろうし、エマ・ストーンが演じるほどには感情移入できなかっただろう。
 ハリウッド作品らしく、物語に深みはなく世界観も単純だ。主役の二人はそれぞれに変わっていくし、二人の関係性も変化していくが、世界そのものはまったく変化しない。平和で安定した世の中でのお手軽な青春物語で、それぞれの悩みの浅さは雨の日にできた水たまり程度だ。
 それでも音楽と歌で楽しめるのは、語るように歌うヒロインのなじみやすい歌声と、豊かな表情の演技に尽きる。エマ・ストーンなしではこの映画は成立しなかっただろう。ウディ・アレン監督の「 Irrational Man」(邦題「教授のおかしな妄想殺人」)でも一風変わった嗜好の女子大生を好演していた。
 難解な設定の役柄でも、力わざの演技で役柄の存在感を確立し、観客の感情移入を得る才能は、おそらく持って生まれたものだろう。豊かな表情は日頃の鍛錬の賜物であることが想像できる。
 しばしば大写しになるエマ・ストーンの表情は喜怒哀楽がとてもはっきりしていて、なぜか愛らしい女性に思えてくる。エマ・ストーンに始まりエマ・ストーンに終わる映画だが、ヒロインが愛らしいと作品自体も愛らしく思えてくるのだ。こういう作品を作ることのできるデイミアン・チャゼル監督は不思議な才能の持ち主といっていいだろう。
 たとえば小さな女の子が人形やぬいぐるみや宝石を自分の「たからもの」として大切にするように、他のひとから見るとガラクタに見えることもあるが、ある人にとっては「たからもの」となる、そういう映画である。


チューリップ賞~ソウルスターリング

2017年03月04日 | 競馬

◎ソウルスターリング
〇ミリッサ
▲アロンザモナ
△エントリーチケット

本命は3戦無敗のソウルスターリングで仕方がなさそうだ。府中のアイビーステークスで1馬身3/4差で下したペルシアンナイトが先週のアーリントンカップを3馬身差で勝ったことから、この馬の能力は抜きんでており、前哨戦だから仕上げに余裕があるだろうという懸念は不要だろう。
前走で出遅れ、最速の脚を使って2着になったリスグラシューが2番人気だが、こういうパターンは不発のことが多い。今回も出遅れないとは限らないのだ。馬格がないのも気になる圧倒的な1番人気の連下は薄目という格言もあり、今回はこの馬に消えてもらう。
馬格がないのはミリッサも同じだが、こちらは前走1番人気。スローペースを後方から大外を回っては届きようがない展開だった。今回は少頭数で前を捌くのには苦労しないだろう。
前走勝ちのアロンザモナと3着以下のない安定した走りをするエントリーチケットまで。

馬券は、◎ソウルスターリングを頭3連単(10-1、4、5)6点勝負。