アンケートに答えるだけで 「歯の治療費タダ」で大騒ぎ 2008年12月6日
J-CAST http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_npo__20081206_2/story/20081205jcast2008231589/
共同通信 http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_npo__20081206_2/story/04kyodo2008120401000816/
会員になりアンケートに答えるだけで歯科診療費がタダになる――そんな仕組みを作ったNPO法人が札幌市に現れた。驚いた札幌市歯科医師会は2008年12月4日に緊急記者会見を開き、北海道厚生局に調査を依頼したことを明かした。会員は既に6000人。その半数が自己負担金ゼロで診療をうけたのだという。いったいこんなことは可能なのか。違法ではないのか。
年金暮らしの老人など生活弱者を救う?
このNPO法人は「CMケア機構」という。医療関連のセーフティーネットを構築することを目的に05年に設立されたのだそうだ。歯科診療の自己負担金をゼロにするためには、まず、同社の会員となり、アンケートに答えることが必要。入会費も会費も無料だが、年収が520万円以下で健康保険証を持っていることが条件になる。このアンケートに答えることで「報酬金」が発生。それが治療費になる。治療期間は1年以内で、通院が重なって治療費が多くなれば、別のアンケートに答えなければならない。
アンケートの内容は、NPO法人が作ったこの仕組みに関する感想や、歯科医院・医師に対する意見、経済動向調査といった簡単なものだという。運営資金はどこから出ているのかというと、発行する広報誌の広告収入、提携先の歯科医院から得られる紹介料的な収入など。提携している歯科医院は現在2つ。この仕組みをスタートさせたのは07年6月からで、会員は現在6000人。平均年齢は57.6歳。その半数が歯科医院に通ったという。
医療関連の仕事に40年間携わってきたという「CMケア機構」の小林料治理事はJ-CASTニュースの取材に対し、保険料を真面目に払っているのに収入が少ないために治療費が払えない、そんな生活弱者が増えていることがNPOを作ったきっかけだった、と説明する。
医師会にはマスコミなどから問いあわせが殺到
そして、「老人は小泉改革以降、無料だった自己負担金が1割~3割負担になり、国民年金だけで生活する老人から悲鳴が上がった。体の病気は通院しても、歯の治療までは無理、という人が多い。歯の治療が後回しになるため症状が悪化している」ため、歯科診療の自己負担金を無くさなければならないと考えた、と小林理事はいう。行政当局とも協議、法律に反していないことを確認し1年半を費やして作ったのだという。
ただし、治療の自己負担金がゼロになるというのは前代未聞の出来事。札幌歯科医師会にはマスコミなどから問いあわせが殺到し、08年12月4日に緊急記者会見を開くことになった。同医師会はJ-CASTニュースの取材に対し、「非常に困惑しているというのが実情です。市民の方からも『違法行為なのではないか』などの問い合わせが来ていますが、私共には調査権も処分権もありません。行政に調査を依頼している段階で、今後を見守るしかありません」と話した。調査を依頼された北海道厚生局はJ-CASTニュースに対し、「現在事実を確認中でコメントはできません」ということだった。
う~ん。アンケートに答えるだけで歯科治療代金が無料だなんて、他の歯科医師から見れば営業妨害もいいところだと思いますが、他にも『健康保険証を持っている』ことを条件としているということは、病院側は3割負担の分だけを負担して残りの7割は国相手に診療報酬として請求している可能性が高いだけに、この問題は単なる歯科医師の生き残り問題だけではなく、診療報酬制度そのものを覆しかねない重大問題のような気がしますね。
確かに生活弱者は歯の治療は後回しになりがちですし、小林料治理事の言うこともわからなくもないのですが、もし自由診療扱いで費用の全額を自己負担しているのではなく、7割分の診療報酬を国に請求しているのだとすれば、それは国に対する重大な裏切り行為でしょうし、歯科そのものの経営が厳しくなり、治療そのものも、虫歯ができたり詰め物が取れて慌てて通うのから、事前予防・早期治療目的で定期的に通ってもらうなど歯科医師の収入源の割合自体が変化してきているだけに、この問題は物議を醸しそう…。
国や歯科医師会の事実上の妨害がないか、このまま会員が増え続けても制度を維持し続けることができるのか、いろんな意味で注目です。
J-CAST http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_npo__20081206_2/story/20081205jcast2008231589/
共同通信 http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_npo__20081206_2/story/04kyodo2008120401000816/
会員になりアンケートに答えるだけで歯科診療費がタダになる――そんな仕組みを作ったNPO法人が札幌市に現れた。驚いた札幌市歯科医師会は2008年12月4日に緊急記者会見を開き、北海道厚生局に調査を依頼したことを明かした。会員は既に6000人。その半数が自己負担金ゼロで診療をうけたのだという。いったいこんなことは可能なのか。違法ではないのか。
年金暮らしの老人など生活弱者を救う?
このNPO法人は「CMケア機構」という。医療関連のセーフティーネットを構築することを目的に05年に設立されたのだそうだ。歯科診療の自己負担金をゼロにするためには、まず、同社の会員となり、アンケートに答えることが必要。入会費も会費も無料だが、年収が520万円以下で健康保険証を持っていることが条件になる。このアンケートに答えることで「報酬金」が発生。それが治療費になる。治療期間は1年以内で、通院が重なって治療費が多くなれば、別のアンケートに答えなければならない。
アンケートの内容は、NPO法人が作ったこの仕組みに関する感想や、歯科医院・医師に対する意見、経済動向調査といった簡単なものだという。運営資金はどこから出ているのかというと、発行する広報誌の広告収入、提携先の歯科医院から得られる紹介料的な収入など。提携している歯科医院は現在2つ。この仕組みをスタートさせたのは07年6月からで、会員は現在6000人。平均年齢は57.6歳。その半数が歯科医院に通ったという。
医療関連の仕事に40年間携わってきたという「CMケア機構」の小林料治理事はJ-CASTニュースの取材に対し、保険料を真面目に払っているのに収入が少ないために治療費が払えない、そんな生活弱者が増えていることがNPOを作ったきっかけだった、と説明する。
医師会にはマスコミなどから問いあわせが殺到
そして、「老人は小泉改革以降、無料だった自己負担金が1割~3割負担になり、国民年金だけで生活する老人から悲鳴が上がった。体の病気は通院しても、歯の治療までは無理、という人が多い。歯の治療が後回しになるため症状が悪化している」ため、歯科診療の自己負担金を無くさなければならないと考えた、と小林理事はいう。行政当局とも協議、法律に反していないことを確認し1年半を費やして作ったのだという。
ただし、治療の自己負担金がゼロになるというのは前代未聞の出来事。札幌歯科医師会にはマスコミなどから問いあわせが殺到し、08年12月4日に緊急記者会見を開くことになった。同医師会はJ-CASTニュースの取材に対し、「非常に困惑しているというのが実情です。市民の方からも『違法行為なのではないか』などの問い合わせが来ていますが、私共には調査権も処分権もありません。行政に調査を依頼している段階で、今後を見守るしかありません」と話した。調査を依頼された北海道厚生局はJ-CASTニュースに対し、「現在事実を確認中でコメントはできません」ということだった。
う~ん。アンケートに答えるだけで歯科治療代金が無料だなんて、他の歯科医師から見れば営業妨害もいいところだと思いますが、他にも『健康保険証を持っている』ことを条件としているということは、病院側は3割負担の分だけを負担して残りの7割は国相手に診療報酬として請求している可能性が高いだけに、この問題は単なる歯科医師の生き残り問題だけではなく、診療報酬制度そのものを覆しかねない重大問題のような気がしますね。
確かに生活弱者は歯の治療は後回しになりがちですし、小林料治理事の言うこともわからなくもないのですが、もし自由診療扱いで費用の全額を自己負担しているのではなく、7割分の診療報酬を国に請求しているのだとすれば、それは国に対する重大な裏切り行為でしょうし、歯科そのものの経営が厳しくなり、治療そのものも、虫歯ができたり詰め物が取れて慌てて通うのから、事前予防・早期治療目的で定期的に通ってもらうなど歯科医師の収入源の割合自体が変化してきているだけに、この問題は物議を醸しそう…。
国や歯科医師会の事実上の妨害がないか、このまま会員が増え続けても制度を維持し続けることができるのか、いろんな意味で注目です。