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大麻事件の若ノ鵬に退職金支給へ、「解雇」では拒めぬ規定

2008-12-23 17:10:55 | Weblog
大麻事件の若ノ鵬に退職金支給へ、「解雇」では拒めぬ規定 2008年12月22日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20081222-OYT1T00440.htm
 大麻事件で日本相撲協会を解雇された元幕内力士の若ノ鵬(本名=ガグロエフ・ソスラン)(20)に対し、相撲協会が一般の退職金にあたる力士養老金を支給する意向であることが22日、わかった。
 理事会で今後、協議していく予定で、金額は500万円を超える見通し。相撲界では元幕内の露鵬、白露山兄弟らも解雇されており、協会幹部は「請求があったら法的には払わなければいけない」と認めている。
 一方、傷害致死事件で解雇された前時津風親方(元小結双津竜)からの請求はなく、協会側も支給の予定はないという。
 相撲協会の退職金支給規定では、除名処分になった力士と親方には、退職金を支給しないとする「不支給規定」があるが、解雇処分者に対する規定は、特に定められていない。除名は相撲協会の「役員、評議員、横綱、大関の現在数の四分の三以上の特別決議が必要」となる。
 若ノ鵬は現在、解雇の無効を求めて相撲協会を提訴し、未払い給与の支払いを求めている。この訴えが認められなかった場合を想定し、弁護人は11月、相撲協会に対し、「退職金」を支払うように請求したところ、解雇が妥当と判断された時は、支給する意向を示したという。
 協会幹部は「今後は規則の改正を考えなければいけない」と語った。



 大麻事件で日本相撲協会を解雇された元幕内力士の若ノ鵬といえば、大麻疑惑もさながら、ありもしない八百長事件をでっちあげて、世間を騒がせたとんでもない輩ですし、もしこれが民間企業ならば、『会社の信用を著しく失墜させた』ことを理由に(退職金も支給されない)懲戒解雇になってもおかしくないと思うのですが、世間を騒がせただけで気が済まずに、今度は500万円を超える退職金をせしめようとするなんて、ずうずうしいにも程がありますし、一庶民としては 心の底からムカつきますねぇ…。
 まだこれが、勤続うん十年の50代や60代の方ならば、『退職金全額を没収するのはこれまでの功績を考慮すれば酷』という考えも出てくるのかもしれませんが、若ノ鵬の初土俵は2005年の3月場所で、関取になったのは2007年の1月場所。言い換えれば、勤続年数そのものが3年半しかなく、組織の売り上げに貢献したという意味では関取になってからの1年半程度。ごくごく普通の民間会社でも、3年以上働かなければ退職金が出ないというのに、それで懲戒解雇に準ずる言動を取りながら、退職金の支給うんぬんが議論されること自体、あまりにも世の中を舐めているように思います。

 まあ、解雇ではなく除名にしなければ退職金不支給にできない規定になっているのならば、法律上はそれを捻じ曲げてまで不支給で押し切ることは難しいのかもしれませんが、みすみす500万円を超える金額を満額支給などしようものならば、高い入場料を払って相撲を見に来る熱心なお客さんにもあまりにも失礼な話でしょうし(本当は支給しない方がよいのでしょうが)せめて常識的な範囲内(勤続3年半ならば、手切れ金としても数十万円も出せば十分でしょう)で和解する方向にもっていくべきなのではないかな…などとついつい考えてしまいます。

雇用対策法案:衆院否決なら解散要求決議案???

2008-12-23 17:03:25 | Weblog
雇用対策法案:衆院否決なら解散要求決議案…民主提出方針 2008年12月20日 毎日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081220k0000m010097000c.html
 民主党の小沢一郎代表らは19日、党本部で幹部会を開き、参院で可決された野党提出の雇用対策関連法案が衆院で否決された場合、麻生太郎首相に衆院解散を求める「解散要求決議案」を衆院に提出する方針を決めた。解散要求決議案は、89年6月に社会、公明、民社の野党3党が当時の宇野宗佑首相に対し提出して以来19年ぶり。過去に11回提出されたが可決された例はなく、今回も否決される見通し。
 解散要求決議案提出の狙いについて、山岡賢次国対委員長は幹部会後、記者団に「解散して政権を代えるしか、雇用を救済する方法はない」と強調した。野党多数の参院でも、雇用対策関連法案の成立を与党に求める「参議院の決議を尊重する決議案」を提出し、他の野党各党にも協力を求め可決させる考えだ。
 解散要求決議案を巡って、民主党内には「自民党内の『造反予備軍』にとって、内閣不信任案に比べて賛成しやすいのでは」(中堅)と、与党側の同調を期待する見方もある。自民党の大島理森国対委員長は国会内で記者団に「何回、解散、解散と言ってきた。何の意味があるのか。揺さぶりにも何にもならない」と批判した。

野党の雇用関係4法案、22日の衆院委採決見送り 2008年12月22日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081222AT3S2200K22122008.html
 与党は22日、民主党など野党3党の雇用関係4法案について、同日中の衆院厚生労働委員会での採決を見送る方針を固めた。与野党ともに慎重審議を求める声があることなどを考慮したとみられる。与党側は仕切り直したうえで24日に衆院厚労委と本会議で採決したい考えだ。
 自民党の大島理森国会対策委員長は22日、民主党の山岡賢次国対委員長に電話で「今日は採決しない」と伝えた。その後、衆院厚労委は理事会で同日中の採決見送りを決めた。
 雇用法案では、民主党などが参院の厚労委と本会議でいずれも採決を強行。与党は22日の衆院厚労委、24日の衆院本会議でそれぞれ否決する段取りで動いていた。





 民主党が15日午前に、新卒予定者の採用内定取り消しを規制する労働契約法改正案など独自の雇用対策4法案(内容は、政府に悪質な内定取り消しの企業名公表を求める。雇用調整助成金の受給対象を非正規労働者に拡大。派遣労働者も雇用保険の対象にする。など)を、社民・国民新党と共同で参院に提出して、与党議員が十分な審議の時間が取れていないと猛反発する中、わずか1日で参議院を通過させてしまったことにも唖然としましたが、今度は雇用対策法案を衆議院で否決したら、衆議院の解散を求める「解散要求決議案」を衆議院に提出する方針を決めるという、これまた吃驚するようなことを言い出してきました。
 結局当初予定していた22日に採決を行なうことはせず、採決を24日にずらすことにしたですが、多分そのまま通過して法案が成立する可能性は限りなく低いのではないかと個人的には見ています。

 というのも、確かに採用内定取消の問題は、日本では一番最初に入社した会社が、その方の生涯年収やその後のキャリアを左右しかねないだけに、あまりにも『悪質な内定取消事例に対しては企業名を公表することで社会的に制裁を課す』という考え方もわからなくもないのですが、問題は何をもって悪質とするか…。
 学生から見れば、『企業業績の悪化』程度の理由で約束を破られてはたまらない(第三者の目から見ても、本当に人を切らざるを得ないくらい企業経営が悪化しているのか、単なる便乗解雇なのか判別できません)でしょうし、かといってあまり会社の内情を詳細に話すと、それが噂になって取引先との決済が手形から現金支払いへ変更させられるなど、資金繰りが苦しくなる可能性だってあるでしょうし、そうなると、『パートや派遣労働者○人に辞めてもらった。正社員の賞与も○割減になった。そんな苦しい状況なので申し訳ないが内定は取り消させて欲しい』レベルの話を他言無用扱いですることあたりが期待されるのでしょうが、会社側からみれば、そのレベルだって取引先との影響や(お財布状況を赤の他人に知られることによる)社員のモラルダウンを考えれば、できれば避けたいところ。
 
 また、内定取消しの具体的理由を一切告げずにに内定辞退を促すようないい加減な企業に対しては、社会的制裁を受けても文句は言えないと思いますが、もし通常の解雇並みに厳しい規制を、運用レベルでも行なうとなると、企業は人員調整そのものが困難になってしまいますし、果たして、まだ働いてもいない新人さんに、既に会社の戦力になっている従業員と同じレベルの保護を与えることが本当に妥当なのか(人員整理やむなしとなった場合に、正社員よりも前にパートを解雇することは労働判例でも合法視されていますし、その順番から考えると、まだ会社で働いていない内定者は、雇用優先順位も当然パートさんよりも下と判断するのが妥当と思われます)は、かなり議論のあるところではないでしょうか…。
 この採用内定取消問題は、急激な景気の悪化により、あらゆる業種に広まっていて、迅速にある程度の規制強化を図らなければならない問題だとは思いますが、他の『雇用調整助成金の受給対象を非正規労働者に拡大』『派遣労働者も雇用保険の対象にする』と異なり、具体的な基準作りが難しいだけに、おそらく一発で法案成立はないでしょうし、今回は与野党で折り合い所を探す段階で終わりそうな気がしますね。

豊田市が法人税収9割減の中、臨時職員100人の採用を検討

2008-12-23 16:46:36 | Weblog
豊田市:法人税9割減 自動車不況で 今年度当初比 愛知 2008年12月9日 
毎日 http://mainichi.jp/select/biz/news/20081209k0000m010143000c.html
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081208AT3S0801W08122008.html
 愛知県豊田市の09年度法人市民税収が、今年度当初予算の9割減にあたる400億円近い減収となる見込みであることが分かった。また、市は今年度中に納付された法人市民税から150億円に上る還付金が09年度発生すると予想している。トヨタ自動車をはじめ市内の自動車関連企業の大幅な減益が響いた。8日の12月定例会一般質問で市が明らかにした。
 市は9月に発表した09年度当初予算方針で、今年度比112億円減の1600億円規模の一般会計当初予算案を示し、法人市民税収は今年度当初予算約442億円から約200億円の減収を見込んでいた。しかしその後、自動車産業の業績悪化が進んだことから、減収の見込み幅を400億円近くに見直した。還付金も09年度は150億円に上るとの試算が出た。
 鈴木公平市長は「世界経済の急激な変動は、大方の予測をはるかに超えている。経験したことのない厳しい状況だ」と述べた。 

「派遣切り」豊田市が救済へ 臨時職員100人採用検討 2008年12月22日 朝日
http://www.asahi.com/job/news/NGY200812210004.html
 トヨタ自動車が本社を置く愛知県豊田市は、同社の業績悪化などの影響を受けて職を失った非正規労働者を市の臨時職員として雇用する方針を固めた。来年1月中旬以降に実施したい考えで、100人前後の採用を検討している。
 急速な景気の低迷を受け、トヨタ自動車はピークの05年6月に約1万1600人いた期間従業員を、来年3月末までに3千人に減らす予定。系列の部品メーカーでも人員削減の動きが進んでいる。こうした状況を受け、契約打ち切りなどで失職した派遣労働者らを支援することにした。
 約100人の臨時雇用を目指すが、規模については、不透明な部分もある。市議会12月定例会に異例の一般会計減額補正予算案を提出するなど、市の財政状況自体がすでに悪化しつつあることに加え、臨時雇用者向けにどのような仕事を創出できるかも固まっていないためだ。
 02~04年度に国の緊急地域雇用創出事業で臨時職員を採用した際には、市の出先機関の資料整理や林業パトロールなどの仕事を確保したが、今回は年度途中に突然の雇用創出を迫られるため、各部局とも頭を悩ませている。
 地方自治体による労働者救済の動きは、大分キヤノンの非正規社員の大量削減などで職を失った人を、大分市が臨時職員として採用するなど、全国に広がりつつある。



 トヨタ絡みと言えば、少し前の報道ですが、そのトヨタ自動車の企業城下町として発展してきた豊田市の法人税収が9割減になるという吃驚する報道もありました。
 まあ、11月の時点でトヨタ自動車の営業利益が7割減(その後更に悪化して営業赤字に転落したことが判明)となるなど、トヨタグループの企業の業績も大幅に悪化していることから、豊田市の法人税収も大幅な落ち込みは予想されていましたが、それにしても法人税収が一気に9割減はさすがに厳しいですし、他の自治体と比べればまだマシとはいえ、これまでは縁がなかった資金繰りの苦労というものを、豊田市も今後は経験することになりそうですね…。
 ちなみに、会社が赤字を出した場合には、『欠損金を繰越して、それ以後の黒字と相殺していく方法(欠損金は7年間繰越せます)』と『欠損金が出た前の年度で納付した法人税があった場合には、その法人税の全部又は一部を還付請求する方法(前1年以内の法人税に限定)』の2つの選択肢を取ることができますが、資金繰りが厳しい企業の中には繰戻還付を選ぶ企業も少なくなく、今年はその繰り戻し還付も150億円近くになるようで、企業の利益に比例して入ってくる法人税収の減少に加えて、この繰り戻し還付のダブルパンチを受けてしまった模様。

 まあ、夕張市のように財政出勤したくても金がないという貧乏な自治体と比べれば、地方交付税の不交付団体である豊田市やその周辺の自治体はまだ余裕があるのでしょうがが、それでも自動車産業を中心に期間雇用者の人員削減が続出する中、緊急に雇用対策も打ち出さなければならない(現時点では、22日付けで、派遣を切られた方を対象に臨時職員として100人の採用を検討中)でしょうし、財政が厳しくなる中、どう歳入と歳出のバランスをとっていくのか、豊田市及び周辺の自治体は厳しい選択を迫られることになるかと思います。

トヨタ、営業赤字1500億円 09年3月期、販売不振と円高直撃 ホンダは正社員削減の可能性も???

2008-12-23 16:41:30 | Weblog
トヨタ、営業赤字1500億円 09年3月期、販売不振と円高直撃 2008年12月22日
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081222AT3D2200M22122008.html
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081222-OYT1T00526.htm
毎日夕刊 http://mainichi.jp/select/biz/news/20081223k0000m020001000c.html
産経夕刊 http://sankei.jp.msn.com/economy/business/081222/biz0812221614007-n1.htm
朝日夕刊 http://www.asahi.com/business/update/1222/NGY200812220016.html
 トヨタ自動車は22日、2009年3月期の連結業績(米国会計基準)の予想を下方修正した。本業のもうけである営業損益は1500億円の赤字になる見通し。営業損益段階での赤字はデータが残る1941年3月期以来、初めて。前期に過去最高となる2兆2000億円超の利益を上げたが、世界的な販売不振と急激な円高が直撃し、2兆円を上回る営業損益の悪化となる。
 今期の売上高は前期比18%減の21兆5000億円(従来予想は23兆円)の見込み。
 また、想定為替レートを円高方向に見直した。下期(08年10月―09年3月)の想定レートは1ドル=93円、1ユーロ=123円で、従来に比べいずれも7円の円高修正。

ホンダ社長「円高続くと正社員削減も」 国内生産、縮小検討 2008年12月20日
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081219AT1D1905F19122008.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081220-OYT1T00021.htm
 ホンダの福井威夫社長は19日、日本経済新聞社の記者らの取材に応じ「現在の円高水準が続くと来期(2010年3月期)には正社員の削減もありうる」と述べ、為替相場が1ドル=90円前後で推移し続けると一段のリストラに踏み込む意向を示した。海外にさらに生産をシフトすることも検討する。来期の赤字転落を防ぐため「聖域を設けずリストラに取り組む」という。
 ホンダは世界的な自動車販売減と急速な円高の進行で業績が悪化。08年度下期(08年10月―09年3月)の連結営業損益が1900億円の赤字に転落する見通し。業績悪化に歯止めをかけるため新工場や研究所の稼働時期を延期するなど事業戦略の大幅見直しに着手している。
 福井社長は同日の取材で「1ドル=80円台は異常な水準で、100円台に戻ると思う」と述べた上で、仮に来期以降も現在の円高水準が定着すると、11月末時点で約4500人いる期間従業員が「限りなくゼロに近づく」との考えを示した。雇用確保で最重要視していた既存正社員についても「削減がありうる」と語った。



 トヨタ自動車については19日の時点で『2009年3月期の連結業績が営業赤字に転落する可能性が高い』という報道が入ってきていただけに、赤字転落そのものはそれ程の驚きもなかったのですが、その赤字幅が単体で創業間もない1938年3月以来の2200億円の赤字、連結でも1500億円の赤字と 半端じゃない水準だったことについては、さすがに吃驚しましたねぇ…。
 前期では2兆2000億円の連結利益を上げていただけに、普段経済ニュースをあまり見ない方などは、『一体あのトヨタに何が起こったんだ???』とただただ唖然としているのではないかと思うのですが、実は11月のトヨタの販売台数は、米国で前年同月比33.9%減、欧州で33.7%減、日本でも28.2%減となり、これまで先進国の減速を下支えしてきた中国やロシアなど新興国の販売も低迷。
 加えて、想定為替レートをこれまで1ドル100円にしていたものの、現在の為替水準は1ドル90円前後と想定を大幅に上回る円高になっていることや、主力販売先のアメリカでは、ホンダなどの他の外資メーカーと比べて小型車の展開に遅れたことや、プリウスのように比較的売れている車でも、部品の現地生産比率が低く輸送代がかかることなどが、どうやら収益の足を引っ張ってしまっているようです。

 そして、販売台数競争から距離を置いて、独自の存在感を示していたホンダも、現在の為替水準が続くようならば、来期は期間雇用者だけでなく正社員の削減に踏み切る可能性を示唆。
 12月15日に、日産のゴーン社長が『「雇用の約1割を担う自動車業界は国にとっても大事で、(窮状を)無視してはならない」と、欧州並みの政府支援が必要』などと言い出した時には、『(不動産や建設業など)他の産業だって十分大変なのに、何を自分達の業界だけ甘ったれたことを言っているんだ???』といささか白け気味に受け止めていたのですが、あの『乾いたタオルを何度も絞る』と言われるようなトヨタ自動車でさえこの有様ですから日産はもっと酷い状態でしょうし、ホンダも赤字転落の可能性が濃厚と見るのが妥当ではないでしょうか…。
 すぐさま政府支援が必要かどうかについては、他の産業とのバランスも考慮しなければならないと思いますが、少なくとも日本の輸出と景気を支えてきた自動車産業が売上不振と為替差損でダブルパンチを受けて、私達が想像する以上に経営体力を奪われていることは間違いなさそうです。