日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

「ごくらくちんみ」杉浦日向子

2005-10-17 | 読書
 私は読むのが早い。
面白い本は1日か2日、どんなに遅くても1週間で読んでしまう。
土日は2冊読み切る事も多い。
1週間経っても読み終わらない本は、
よっぽどのことが無いかぎり置き去り。

「ごくらくちんみは」例外中の例外。
2週間、ダラダラ読み進み昨日無事読了。

7月に亡くなった杉浦日向子さんの本はこの一冊だけ。
ガンで先が無いことを知り、
母の生活を考慮して雑誌に連載していた原稿をまとめ出版の手はずをととのえたり、
身辺整理をしたり、見事な終り方だったようです。
新聞記事に感動して書店で最後の本を探しました。

珍味を味わうシーンと物語、2~3ページに1つの短編。
珍味が好きでなく、ゲテ物は見るのも嫌いな私には1度に多くは読めません。
少しずつ、少しずつ読み進めていました。
「デイジー。
  好きだって言ってたけど、別名は延命菊なんだってさ。
   わたしはこうして、薄暮の居酒屋に、ひとりいるよ。
    とりあえず、今は生きて、ここにいる。
     明日のことは明日、目が覚めたら考えよう。」
  ーかつおへそー

しゃべり言葉のまんまの会話の文字、
粋で、生き生きとし、品を失わないリズム感。
中には日向子さんとダブってしまう物語も。

先が無いことを知ってから、
どんなにか気弱になったこともあるでしょう。
笑うと泣きそうな顔になる日向子さん。
笑いながら涙を流していた日々を思うと、
大事な1冊に思えてきます。
コメント (2)
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