日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

ルポ 貧困大国アメリカ

2009-09-26 | 読書
友人が「読んでみて」貸してくれた1冊
岩波新書 2008年1月発行 堤未果著「ルポ 貧困大国アメリカ」

人から本を借りるのは好きではないし、
ミステリー愛好者には畑違いのルポ物
だが、以前新聞の書評か広告を見た記憶がある。



早速帰りの電車で読み始めた。
プロローグは世界不況の始まりのサブプライムローンで家を失った家族のルポ
英語を話せないヒスパニック系で、2年前に自己破産をしてしまった一家
金融機関からやって来た「弱者の味方」と言う男の口車に乗せられ
住宅ローンを組み、マイホームを手に入れたものの
3年で破綻し、以前の貧困ラインぎりぎりから最低限の生活すら出来なくなってしまった。
日本では考えられない住宅ローンの仕組みだ。

アメリカでは貧困層ほど肥満傾向にある現状
栄養バランスを考えて食事をするゆとりがなく
貧困家庭に与えられるフードスタンプで必要なエネルギーと空腹を満たすことだけを考え
安価なハンバーガー・ピザ・ポテトチップスなどジャンクフードを食べるしかないから太る。

貧困家庭の子供が通う高校に魅力的な条件を提示する軍隊への勧誘
意識ある若者が最後の希望を込めて入隊をしても
イランやアフガンに送られ命を落とすか身体か精神に異常をもたらす出口。
徴兵制度がなくとも、貧困の若者で兵士は不足する事はないと言う。
小さな内閣をうたい、兵士まで民間に任せて
保証の責任をとらずに済ませる国の仕組み。
この民間派兵やフードスタンプに関わり、利益を上げる超有名企業と経営者達。

日本でも一億総中流は昔話になり、富裕層と貧困層がハッキリ別れ、
最貧のセーフティーネットが崩れていると言われている。
それでも生活保護世帯をターゲットに利益を上げる人達は
忌み嫌われた「悪者」の認識があるが、それさえ崩れてしまったアメリカ
オバマ大統領が掲げる「健康保険精度」が総スカンを食っている原因は
同じ線上にあるのかも知れない。

中間層が1~2回の病で破産し、貧困層に転落する事があるというのに
健康保険の反対論が富裕層から上がっているらしい。

アメリカで起こっている事は日本の10年後の現象と言われる事を思い
背に冷や汗を流しながら読み終えた怖~~い、1冊ではある。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする