魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

深海魚27.サツマカサゴ

2009年06月11日 20時11分09秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

一昨日、昨日とトロールで漁獲されるカサゴを紹介してきましたが、今日もその流れに乗ります。

フサカサゴ科 フサカサゴ亜科 オニカサゴ属のサツマカサゴScorpaenopsis neglecta   Heckelです。

サツマカサゴは、南日本から南シナ海、東部インド洋の沿岸岩礁域に生息する普通種です。高知県や愛媛県南部でのシュノーケリングでもよく見かける魚です。本種は浅いサンゴ礁域や岩礁に生息するものと思われがちですが、この個体は高知県足摺岬沖合の水深180mほどの場所から採集されたものです。浅いところから深いところまでいるんですね。

サツマカサゴの特徴は、体高があること、そして胸鰭の地色が黄色もしくは赤色で基部に小さな黒色斑点があることです。本種を含むオニカサゴ属は近年に分類の再検討が行われ、日本には13種類が生息することが明らかになっています。

オニカサゴ属の味についてですが、これは料理法などでも変わるようです。個人的に刺身はお勧めできず、唐揚げや煮つけに向くと思われます。

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深海魚26.イズカサゴ

2009年06月10日 18時20分49秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日紹介する深海魚は、昨日に引き続きカサゴの仲間のイズカサゴScorpaena neglecta   Temminck and Schlegelです。イズカサゴはやや深い岩礁域に生息するフサカサゴ科魚類です。

このイズカサゴはフサカサゴ科なのですが、昨日のユメカサゴと違う「フサカサゴ亜科」に分類されています。フサカサゴ亜科は背鰭軟条が9以下(ユメカサゴが含まれるメバル亜科では通常11以上)で、多くの種で頬に隆起線と大きな棘があることで区別されます(中坊編, 2000)。日本産は15属、約45種が知られています。本種はそのなかのフサカサゴ属に含まれます。

本種は水深100~200mの岩礁域・砂底に生息する種で、肉食です。食性は小魚や甲殻類などです。

カサゴやメバルの類は卵胎生ですが、本種は卵生とされています。近縁種ではゼラチン質の袋に包まれた卵を産むものが知られています。

フサカサゴ属は世界で約60種が知られ、その中には有用な食用種も多く含まれます。地中海産のScorpaena scrofa  Linnaeusは有名な地中海料理の食材ですし、北米産のカリフォルニアカサゴScorpaena guttata   Girardは日本にも輸入されています。

日本には4種類が分布し、フサカサゴScorpaena onaria   Jordan and SnyderとコクチフサカサゴScorpaena miostoma   Güntherについては釣り人の間でも殆ど分けられません。また近年、クレナイフサカサゴScorpaena brevispina Motomura and Senouというわが国で4番目の種類が記載されました。

何れも毒棘をもつといわれ、取り扱いには十分注意したいものですが、非常に美味しい魚です。但し高価なものであまり手は出そうもないですが・・・

2008年2月、宮崎県産

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深海魚25.ユメカサゴ

2009年06月09日 14時38分47秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

今回紹介する魚は深い海に生息するカサゴの仲間のユメカサゴHelicolenus hilgendorfi   (Steindachner and Döderlein)です。

ユメカサゴはカサゴ目フサカサゴ科メバル亜科に属しています。この亜科にはメバル類、カサゴ、ムラソイ、クロソイ、タケノコメバルなど釣り人の皆さんや魚市場の方々にもおなじみの魚が多く含まれています。

本種は深海性のカサゴで、トロール船ですと深さ200~300mくらいの場所で多く水揚げされています。そのためこの魚は、磯釣り師や防波堤釣り師には馴染みのないものでしょうが、船釣りの方々や、魚市場の方々にはお馴染みの種といえます。

生態は卵胎生、つまり雌のおなかの中で卵をかえしてから産むようです。これは浅瀬に住むメバル類やカサゴなどと同じようなものです。食性は肉食性、小魚や甲殻類などを捕食します。

トロールではカサゴの類も豊富に水揚げされています。高級なものがイズカサゴで、通称「オニカサゴ」。他にもアヤメカサゴ、ウッカリカサゴ、本種、などが網に入ります。何れも美味、刺身、唐揚げ、塩焼き、洋風和風と何でも来い!という魚です。明日もトロールで漁獲されたフサカサゴ科魚類について紹介していこうかな、とも思っています。お楽しみに。

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深海魚24.シキシマハナダイ

2009年06月08日 17時12分19秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

深海にすむ色鮮やかな魚、シキシマハナダイCallanthias japonicus   Franzです。

シキシマハナダイは、「ハナダイ」の名がありますがハタ科ではなく、シキシマハナダイ科に分類されています。ハタ科魚類との見分け方としてはいくつかありますが最も簡単なものとしては側線の位置があげられています。本科魚類では側線は背鰭基底のすぐ下を通るのに対し、ハタ科では体側中央よりすこし上方にあるということで区別できます。

シキシマハナダイ科魚種は3属14種からなり、うち2属3種が本邦から知られています。本種をふくむシキシマハナダイ属は本種のみが本邦より知られています。

シキシマハナダイの雌雄差ははっきりしていません。これもシキシマハナダイと同定された個体なのですが、上の個体とはまるで別の魚のようです。これは雌雄差といえるのかも知れません。

シキシマハナダイはやや深い岩礁域や砂底に生息し、水深200mの深海からもトロールなどで漁獲されます。食味はまあまあで、塩焼きなどにして食べられます。

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深海魚23.ヒメハナダイ

2009年06月07日 21時20分01秒 | トロール船乗船記録と深海の魚(2009年5月)

本日ご紹介の深海魚は、スズキ目ハタ科の魚「ヒメハナダイ」Tosana niwae   Smith and Popeです。

ヒメハナダイはハタ科のハナダイ亜科に属し、やや深い場所から釣りやトロールで漁獲される種です。ただし、今回の乗船では同じハタ科ハナダイ亜科の「カスミサクラダイ」と異なり特定のポイントでしか網にかからないように思いました。

ヒメハナダイ属の属名Tosanaは、「土佐」にちなむものでしょう。タイプ標本の産地も高知です。本種は南日本から南シナ海までに分布しています。

ハナダイ科は雌雄で色彩変異が激しいですが本州では雌雄共に桃色で黄色の縦帯、色彩の変化らしきものは殆どありません(冷凍→再解凍すると余計にわかりにくくなります)。

前述しましたようにトロールでは少ない感じの種で、普通食用にはなっていません。持ち帰るとしても、練り製品の材料用でしょう。

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