昨日またまた上京し、日帰りで帰ってきた。今回は会津若松から新宿の南口までバスを利用したが、行きも帰りも5時間以上もかかってしまった。王子から新宿までの都心が込んでいたことと、会津が雪であったために、スムーズに走れなかったのである。川端康成は『雪国』の冒頭で「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった」と書いているが、帰りのバスで郡山から中山峠を越えると、もうそこは銀世界であった。そして、まさしく「夜の底が白くなった」という光景を目の当りにした。その小説のなかで川端は、おぼろげな表現を自在に駆使している。だからこそ、実在しない者の世界を描いている、と評されるのだろう。ストレートに表現しがちな英語などに翻訳するのは、はなはだ難しいに違いない。作風でも日本にこだわり続けた川端が、昭和46年に東京知事選で秦野章を応援したことがあった。革新都政を倒すために立ち上がったのだ。自民党の宣伝カーの上に乗って、池袋東口でマイクを握ったのである。選挙そのものは負けであったが、日本を守ろうとする気迫が感じられ、鬼気迫るものがあった。国のかたちが破壊されようとしている今、川端のあの姿が鮮明に思い出されてならない。三島由紀夫が自刃した次の年のことである。
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