三島由紀夫の死は、政治的な死であった。週刊ポストの8月16日・23日号には、三島さんの「憲法改正草案」が掲載されている。目の前に侵略者が迫ってきているのに、憲法擁護だとか口にする人たちは、三島さんが残したその文面を読んでみればいいのである。三島さんが訴えたかったのは、「天皇は国体である」「日本国民は祖国防衛の崇高な権利を有する」の二点であった。国体としての天皇陛下から、軍人たる自衛官は、栄誉の大権を与えられなければならないのである。今になってそれが公開されたのは、三島さんの精神を受け継ぐことが、日本を救うことになると考えたからだろう。悲しいかな三島さんの死は、これまで天才文学者の死として片づけられてきた。しかし、菊と刀が結びつかなければ、日本は滅びるしかない。アメリカとの同盟関係を止めろというのではない。自国の防衛は自国ですべきなのである。今のままでは、自衛隊はアメリカの指揮下にあるのと同じだ。菊と剣が一体になることで、国体を維持するために、自衛隊を名誉ある存在にしなくてはならない。葦津珍彦が『日本の君主制』のなかで「大御心というのは、アメリカ人が理解するような意味での一裕仁命の後天的思想や教養から生じて来る意思なのではない。(略)それは分り易く言えば、日本民族の一般意思とでも言うべきものである。それは万世不易の民族の一般意思である。この民族の一般意思を日本人は神聖不可侵と信じている」と書いているように、それこそが国体なのあり、日本国民であれば、それを守り抜く「崇高な権利を有する」のである。
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