煎茶を楽しんでいただこうと2カ月で3回、「煎茶講座入門」を開催。
一回目が「自分だけの茶」、二回目が「あなたと一緒の茶」、そして3回目が「人生を味わう茶」がテーマだった。通して教えていただいたことは、煎茶の作法や所作ではなく “文人が愛した煎茶” 概論を玉露の味を通し体感させていただいた。
夏目漱石にして"喉にくだるべき液は一滴もない"と煎茶を例えた名言がある。その言葉の意味が、この講座でほんの少しわかったような気がする。文人煎茶は喉の渇きを潤すものではない。一煎ごとに味の感想を、"甘い"、"渋い"、"苦い"、"重い"、"軽い"、 “まろやか” などで表現した。
昔の文人、詩人は、一煎ごとに感じた思いを言葉で表現することを楽しんだように、講座入門で同じような体験をさせていただいた。一煎目で甘味を「興奮を潤す」。二煎目では苦味を「独門を破る」とした。三煎目は渋味を「経汗に発する」などと表した。心の想いを比喩的表現で伝えるおもしろさを教えていただいた。
煎茶を通して、書斎の文化を楽しみ、そしてその周辺の設えやお軸などからは文字や絵の奥深さを感じた。部屋にいながらにして自然を感じ、山に、海にいるかのような気分になる。そして風も感じ季節を見ることができた。
講座を通して不思議な体感をした。なにも知らない私たちを心地よい気持ちにさせていただいた。煎茶の魔法をかけられたようである。
※十数年前に開催した講座のときの感想記事である。この講座をキッカケに煎茶を習い始めた。
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