湯冷ましを雁が音(茶葉)にかからないようにゆっくりと注ぐ。
1煎目のまろやかさが、2煎目には渋さが増し少し引き締まる。そして3煎目はキレが抜けていく。
昨夜の稽古のお題は、李白の「白鷺鷥(はくろじ)」。漢詩や墨絵に登場する白鷺は「男」を比喩する。
それも美しい男性の代名詞である。今回のこの漢詩は、李白が友人の男性の悲哀を詠んだものとされている。
白鷺拳一足
月明秋水寒
人驚遠飛去
直向使君灘
[現代訳]
片足で立つ白い鷺
月は明るく 秋の川の流れは冷たい
人影に驚き 白鷺は遠くへ飛び去り
まっすぐに 使君灘へ向かっていく
そしてもう一句
白鷺下秋水
孤飛如墜霜
心閑且未去
独立沙洲旁
[現代訳]
白鷺が秋の水におりてくる。
1羽で飛ぶさまは、霜がおちてくるみたい。
心をしずめてしばらく立ち去らない。
ひとりで砂の中洲のそばに立っている。
冬到来に、男の悲哀を感じさせられる。そして、雁が音の渋さが心に染みる。
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