禅宗系の大本山を訪ねる楽しみは、襖絵や天井画を見ることである。京都の五山のなかでも妙心寺や大徳寺、相国寺、そして建仁寺の天井画は荘厳な宇宙のような景色に見えてくる。
龍は、ご存じ仏教を守護する八部衆の一つで龍衆といわれ、禅寺の本山の多くでは、法堂(はっとう)の天井に龍が画かれている。妙心寺、大徳寺は狩野探幽、相国寺は狩野光信など名刹が画き、そして最近では、小泉淳作が画いた建仁寺の天井画は円相ではないが、天井全面に双龍が舞っている。
大徳寺には二つの天井画がある。一つは釈迦如来像が鎮座されている仏殿の天井に。しかしながら、その天井画はほぼ剥がれ落ちて見えない状態である。関係者に聞くと、「飛天」が描かれていたという。そう聞いて改めて見ると、そうかなと思える。天から釈迦如来を守り続けているというなら、飛天なのだろう。いつの日か仏殿に美しい飛天図が天井を彩るなら、本尊もさぞかし喜ばれるはずである。
もう一つは、法堂の天井に描かれている。妙心寺同様に狩野探幽が35歳の時に描いた雲龍図だといわれている。天井がゆるいドーム状なっているので、地面の敷瓦の上で手を叩くと、天井の龍も共鳴しズウゥ~ンという音が堂内に響く。そのため「鳴き龍」と呼ばれている。
寺院を訪れると、日常にないいろんなものが見えてくる。寺院を通して、日本の歴史、そしてその時代の文化や人、さらにそれらの証を観ることができる。
今回の「あの一枚」展シリーズでは、モノトーンで表現している。想像の領域を超えた世界を楽しむのも乙なものかもしれない、と思い・・。
狩野探幽が描いた大徳寺法堂の「泣き龍」
大徳寺仏殿のはがれた天井画
狩野光信が描いた相国寺の雲龍図
小泉淳作が描いた建仁寺の双龍図
リポート&写真/ 渡邉雄二
尾道・文化紀行 https://asulight0911.com/hiroshima_onomichi/
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