十数年前に、日本の家庭料理や家の食卓に出される料理のなかで、
ほんの少しこだわりをもつ伝統料理を楽しむ講習会を開催していた。
日本の風土や文化で育まれた食材やメニュー、そして味を再認識し楽しもうという企画だった。
それを記した内容を少しリライトし再掲載していく予定である。
その第一弾が「手打ち蕎麦」。
そば打ちで、十割そばや八割、七割蕎麦など配合いかんに問わず、
そばの出来ばえの良し悪しは粉を混ぜ合わせるときに入れる水量で決まるという。
どの位水を入れるかは色やはだ触りで決める。これも職人の技。粉の種類や量、
配合によっても水の量が異なる。これも経験がモノをいう。
手打ちそば講習会でそば打ちの奥の深さを体感。参加された方たちも初めて。私も初体験である。
植田塾は手打ちそば道場として開講されている塾である。
その塾長さんが、まず粉をかき混ぜ、そして手のひらでこねて麺棒で延ばし、
麺切り包丁でマッチ棒角くらいに切り、出来上がりまでを丁寧に解説しながら実演していただいた。
そしてその工程のすべてを参加者全員が行った。
塾長と講師の方に手取り足取り手伝っていただきながら、そば打ちの体験をさせていただいた。
植田塾長の冗談を交えたトークが作業をさらに楽しくさせる。このトークはおばちゃんに大うけ。
おばちゃんたちも突っ込みを入れる大阪ならではのそば打ち体験になった。
手打ちそばの行程を見ていると、安易にいうなら誰でもができる作業である。
粉をこねて、平たく伸ばし、包丁で切る。大きく分けるとこの作業である。
誰でもできるこの作業で、まして調味料で味を調えるわけでもないのに、
プロの方との味が大きく違うのも不思議である。何事にも通じることだが、やはりまず「基本」である。
この基本にマスターした上で、それぞれの感性や感覚そして心が備わらないと、
美味いそばはできないということを教えていただいた講習会だった。
最後に塾長が打ったそばを試食した。我々が打ったのは持ち帰り、その夜食べて驚く。こんなにも違うものか、と。
この記事は、2008年11月「心と体のなごみぶろぐ」に掲載されたものをリライトし転載。
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