隣のベッドから「ほら、御節 ( おせち ) の特上よ~!食べて~ 」との声が聞こえて来る。
ここは病室、元旦の朝ご飯の時だった。
病院食なんだから、いつもと同じロールパン 3個 、スープとサラダ、フルーツのコンフォートが定番で、
「 特上の御節 」なんてあるはずがない。
カーテンの隙間から覗いて見ると、男性はベッドの上で胡坐を組み、手を組んで微動だにしない。
どうも認知症らしい、なにか 「 ブツブツ 」 言っているのだが意味不明、一向に食事を口にしないのだ。
だから 「 御節の特上よ!食べて 」 などと騙して何とかしようと看護師さんが奮闘しています。
もう、何を言ってもお手上げと思われたが、看護師さんの努力で少しずつではあるが口を動かしていた。
看護師さん凄い!。
養老院などで看護師が患者に暴行を働いたとか、最近よく見聞きする。
今日の食事の攻防を見ているだけでも、余程気の長い堪え性のある人しか務まらないって思った。
頭を一発ぐらいひっぱたきたいだろう。
今は親が自分の子供を叩いてもパワハラ。
叩かれて 「 目が覚める 」 子供だっていると思うが ..... 。
私なら患者さんの頭位ひっぱたくかも知れない。
私だったら 「 食べないんだな 」 とさっさと下げてしまうだろう。
気が短い人、神経質な人、綺麗好きな人には看護師は務まらないかもしれない。
いろんな意味で、看護師は汚い仕事もしなければいけない。
特種技能職なので、少なくとも今の給料の 3 倍は上げないと看護師は定着しないでしょう。
看護師さんの仕事を見ていたらきっとそう思うはずです。
私の通っている病院は、歴史も伝統もあり立派な病院史もある、地元の中堅病院です。
とても良い病院だと思う。
折角、縁あってこの病院に勤める事になった看護師さんには長く勤めて欲しい。
この病院には、とても明るい看護師さんが多い。
いつも気持ちがいい対応をしてくれる ..... 天職なのだろうか ? 心が晴れる。
新人には厳しく 「 心構えから技術に至るまで 」 しっかり伝承しないと ( 叩き込まないと ) 、
その内、基本に沿わない自分流のやり方を始める者が出て来る .....
所謂、手抜きです ..... どの職業にも言える事かも知れません。
そこを見逃す事無く、先輩看護師が適宜軌道修正をしていかなければなりません。
人の入れ替わりの激しい病院こそ技術の低下が激しいと思います。
私は 7年間も同病院で同じ治療を受けているので、それぞれの看護師の事がよ~く分かります。
たまに、新米看護婦さんに私から 「 そこは違うよ 」 等と教える事もあります。
それだからか、ベテランと新人が来て 「 今日はこの新人にやってもらいます。
私が、ちゃんと監視してますのでよろしくお願いします 」 なんて実験台にされる事が多い。
そして、独り立ちした看護師さんが、一番最初の、基本中の基本「 心構えから基本技術に至るまで 」
教えを振り返り、堅持し、更に、寸分の違いもなく後輩へと伝承していく。
ルーチンワークは新しいルーチンが出来るまでは崩してはいけません。
それが出来ているからこそ、江戸時代からの歴史があるのでしょう。
確かにイメージ的には看護師の仕事はきつい、看護師が魅力的職業ではないから .....看護師になりたがらない。
結局その分のしわ寄せが来て重労働になる、しかも、給料は労働に見合っていない薄給である。
基本に立ち返って自分を見つめ直すなんて暇がない程多忙です。
看護師が集まらないので、新人を捕まえておく ( 逃がさない ) ために、上層部から 「 優しく教えろ 」 とのお達し ..... 。
ちょっとでもきつく当たるとパワハラだなどと騒ぎ立て、堪え性がなく 「 辞めたいなどと言い始める 」 。
今まで頑張って ( 授業もきつかったはずです ) 看護師になれたんでしょう ?
それを無駄にしないで立派な看護師になって下さい。
過去に、看護師さんは 「 白衣の天使 」 と呼ばれ、「 保母 」、「 スチュワーデス ( CA ) 」
などと共に女性が憧れる職業ではなかっただろうか ‼ 。
今後、更に高齢者が増え続け、自然災害も起き流行病にも対応しなければなりません。
今の状態では医療が立ち行かない事は経験済みです。
お国の仕事です。 看護専門学校を増やす、なんて短絡的な事を言う政治家はとっとと辞めてもらいましょう。
まず現場で働いている人の環境(給与のアップを含めて)を整備し、まず働きやすい職場 ( 福利厚生の充実 ) を作る事です。
勿論、託児所は必須でしょう。 そうすれば確実に離職率も減るはずです。
魅力的な職場の創生です。
その上で専門学校を増やします ( 学費の低減、寮の完備 ) 。
入学希望者も今まで以上に見込めるでしょう。
今後、病院と長い付き合いをしなければならない人も必ずいるはずです。
看護師が疲弊して働いているのを見るのは嫌でしょ ! 。