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キ コ の 壁 画 が 出 来 る まで
(そのー3)
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色付けのもとになる白黒のデッサンがほぼ出来上がった。
手前のシルエットは只の見物人ではない(私みたいなのもいるが・・・。)多くはキコの弟子たちの画家の集団だ。キコは描く絵の中心人物の顔や手など、決定的な部分はすべて自分で描くが、衣服や景色や動物や背景や補助的人物の顔等は、教え込んだ弟子たちに意図的に手伝わせる。それは、彼が死んだ後も、キコ様式の絵を描き続ける一団を育てるためでもある。
画家たちは、イタリアやスペインを中心に世界中から家族を連れてここに結集し、自分の個性を完全に消して、せっせとキコの手足として絵筆を振るう。奥さんも子供も連れてくる。神学校の中に、にわか保育室までできた。子供たちが走り回っている。
空白部分は金色の絵の具でうめられていく。微妙な塗り斑が私の神経に障った。
絵と聖堂の後半部分との間にビニールのカーテンが出来た。埃を嫌うのか?
私はカーテンの中に入るのをしばらく控えていた
絵の色付けはどんどん進んで行く。上の段の椅子に座っているのはキコ。絵筆を振るっている。
伝統的なイコン画様式に沿って三位一体の神の絵を描いている
キコは美術アカデミー(芸大)の絵画部門の卒業生だ
キリストの顔がほぼ完成に近づいた。黄色い余白の部分は、後日その上に金箔をおして仕上げられるだろう。なんだ、それなら下地の金泥の塗り斑は消えるわけだ。納得!
(つづく)