著者は、なんでも鑑定団で有名な鑑定士。この本では、自身の生い立ちから修行時代、
開店から現在までの経緯、鑑定や売買を巡る様々なエピソードや人との付き合い、
焼き物の見方、買い方等のノウハウなど、色々な話題が網羅されていてとても面白かった。
文章の語り口も軽妙でとても読みやすく、古物に興味の無い人でも、この世界の商売の仕方や
人との付き合い方など、いろいろ参考になることも多いと思う。
古物商の世界は、真贋の鑑定からモノの評価の仕方、金銭のやり取りなど、
全て自己責任でリスクも負わなくてはいけない大変厳しい世界だ。
著者は色々な失敗をしながらも、それを糧にこの世界を生き抜いて一流の鑑定士として
成功している。どの世界でも一流になるためには、普段の努力、実践が欠かせない。
焼き物だけでなく多くのアートに触れて、自分の鑑定眼を磨くことが必要と説いている。
正直、焼き物の世界にはあまり興味が無かったが、この本を読んで、祖母の形見の品の
萩焼に興味が出てきた。この本によると、萩焼にも取り扱い方のノウハウがあるということで、
とても参考になった。旅行に出掛けた時には、工芸品の美術館巡りをしてみたいと思う。