きみは死にたかった
いいえきみはただ
遠いところに行きたかった
たった一つのことで
傷つくことのできる才能を持って
眠れないということは
どこまでも歩いて行けるということ
どこまでもどこまでも
きみは歩いて行ける
「何をしている?」
散歩でもなく徘徊でもなく
きみは旅だと答える
「安心できる場所をみつけても、決して安心はできません。それを失ってしまうことに対する不安が生まれてしまうからです。安心する時間はなく、もしもそれがほんの少しでもあるのなら、それがある間に歩き始めなければなりません。行き着くところに行き着くことが恐ろしいから、とどまることのない旅を続けなければならないのです」
電波も届かない場所で
きみは方向さえも見失う
つながらないということは
つながらなくてもいいということ
籠を抱えた男が角を曲がって近づいてくると
きみは迷いを共感するためだけに顔を上げるけれど
男は道よりも重いオレンジの話を始めた
「今はちょっと……」
少しずつ少しずつ
きみは自分から離れながら
自分の命を広げていく
果てしがないというイメージが
ほんの少しだけ
きみに安らぎを与えてくれる
きみは死にたかった
いいえきみはただ
遠いところに行きたかった
まだかなしみが届かない
遠く遠く
知らない街へ
いいえきみはただ
遠いところに行きたかった
たった一つのことで
傷つくことのできる才能を持って
眠れないということは
どこまでも歩いて行けるということ
どこまでもどこまでも
きみは歩いて行ける
「何をしている?」
散歩でもなく徘徊でもなく
きみは旅だと答える
「安心できる場所をみつけても、決して安心はできません。それを失ってしまうことに対する不安が生まれてしまうからです。安心する時間はなく、もしもそれがほんの少しでもあるのなら、それがある間に歩き始めなければなりません。行き着くところに行き着くことが恐ろしいから、とどまることのない旅を続けなければならないのです」
電波も届かない場所で
きみは方向さえも見失う
つながらないということは
つながらなくてもいいということ
籠を抱えた男が角を曲がって近づいてくると
きみは迷いを共感するためだけに顔を上げるけれど
男は道よりも重いオレンジの話を始めた
「今はちょっと……」
少しずつ少しずつ
きみは自分から離れながら
自分の命を広げていく
果てしがないというイメージが
ほんの少しだけ
きみに安らぎを与えてくれる
きみは死にたかった
いいえきみはただ
遠いところに行きたかった
まだかなしみが届かない
遠く遠く
知らない街へ