雨は上がったらしい
どこにもセロテープの切れ目が見つからず
君は目を凝らして全体を一周する
一周しても見つからないので
そのままずるずる進んで
目先の非力を感じている
だったら指だ
研ぎ澄まされた指先を
セロテープの周辺に当てた
どこまでたどっても切れ目はない
ツルツルとした表面が延々と続いた
目では駄目 指でも駄目
だったらこの足と体で
走り出した 君はネズミだ
セロテープの輪の上を君は走り回った
何も見つからない内に
徐々に速度が上がり折句の扉が開く
おなじみの言葉たちが風を切って遊び始める
終わらない 永遠 ぐるぐる
くるくる 歩く
歩き出す 明日へ 未来へ
どこまで行っても
君の探すものは見つからない
セロテープはくるくると回る
ゴールに向いて君はぐるぐると回る
言葉はあふれても答えはない
永遠 どこまでも めくるめく
不確かな 明日へ 絶え間なく 未来へ
燃えるような運動が続く
見つからない
見つからない 見つからない
「くっつけたいものなんてない!」
君は自分の意志を一つだけ見つけてしまう
先へ進みたいだけなんだ
先へ先へ先へ……
あれっ 進んでいないの
動いても動いても
景色は何も変わっていない
ゼンマイが切れたように運動が落ちてきた
はぁ はぁ はぁ 君は空を見ている
空腹が虹をさした
永遠の
押し問答を
まき散らし
行くあてのない
明日に捧げる
折句「エオマイア」短歌