眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ダイヤモンド悪循環

2020-04-13 20:08:00 | 夢追い
「現金の方がいい場合もあるで」
「はいどうぞ!」
「おい。お前さっきからきいてんのか?」
「はい?」
「答え方おかしいねん」

「はい?」
「はいちゃうねん! おかしいんちゃうか」
「と言いますと」
「と言いますとあるか、現金の方がええ時あるゆうねん」
「はいどうぞ!」
「それや! それがおかしいねん」
「はい?」

「何や噛み合ってないな。お前ちゃんときけ」
「はい」
「どういう態度やねん。なめてんのか」
「いえいえ」
「ちゃんときけ。客の言うこときけよ」
「はい」
「ええか」
「はい」

「現金の方がええ場合がある言うねん」
「はいどうぞ!」
「はいどうぞーあるかい。それをさっきから言うてんねんで」
「そうなんですね」
「何やそっちの都合か? そっちの都合でやってんのか」
「そうですね」
「そやろうが」
「まあ、そうですね」
「こっちは知らんやん」
「はい」

「こっちは現金の方がええねん」
「はいどうぞ!」
「なんやー、お前!」

 的確なポジションに人はいてもすべての守備はざるのようだった。打ち返された打球は次々と内外野を抜けていった。歯止めのない大量失点。打者はベンチで休んでいる暇もない。生還するなりバッターボックスの前に列を作って待たねばならない。打たせて取るスタイルのピッチングでは、この循環を断ち切ることは不可能だ。打ち分ける必要もない。ただ前に飛ばすだけでいい。この狭い空間においては圧倒的に打者が優位に立っている。ダイヤモンドの角っこにある椅子にかけて帽子を深く被ったまま女は悠然としている。それがこのチームのオーナーである。
「私はチームを愛している」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏男の扇子 

2020-04-13 16:47:00 | ナノノベル
「何しにきた?」
 お前は夏男じゃねえか。
「個人的には夏っす」
 私的な夏をひっさげて、男はやってきた。
「花火でもやりやがれ」
 できねえ?

ちゃかちゃんちゃんちゃん♪

「人の集まりがないとできねえ?」
 なんだこいつは一丁前のことを言いやがる。
「海でも開きやがれ」
「あっしの仕事ではないっす」
 そりゃそうかい。
「ごめんよ。気を悪くしねえでくれ」

ちゃかちゃんちゃんちゃん♪

 なんだいまだ怒ってんのかい。
 夏男のくせにじめじめしやがって。

「かき氷でも食うか?」
 いらねえって。
 馬鹿野郎! 遠慮はいらねえよ。
 この季節じゃああんたはお客さんなんだから。
 もう帰る?
 夏男ってのは話が早いね。

ちゃかちゃんちゃんちゃん♪

「帰るって足はあんのかい」
 ならゆっくりしていきやがれ。
 おいなんだ。震えてんのかい。
「さむい」
 馬鹿野郎。夏男が寒がるもんじゃねえ。
 夏男だから寒い?
 何しにきやがった。

ちゃかちゃんちゃんちゃん♪

「今夜は風が強いね」
 ん?
 馬鹿野郎!
 お前扇いでんじゃねか。
 夏男は扇子が放せねえ?

ちゃかちゃんちゃんちゃん♪

「しょうがねえな。暖房入れてやるよ」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

霊風の春

2020-04-13 13:17:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
ヒナギクの気球を押して金色の
森へと誘う霊のそよ風

(折句「ひきこもれ」短歌)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マジック

2020-04-13 08:47:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
チャンチャカチャーン誕生会の手品師が
胸を開いて新郎ボーン!

(折句「チャタテムシ」短歌)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする