眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

浮遊ゾーン

2020-04-01 04:25:00 | 夢追い
 カウンターの端にかけてコーヒーを飲んでいるとすぐ隣に知らない女が座っていて驚いた。最初からいたのかいつの間にかきたのかわからない。女はずっと窓の外を見ていた。

「ここに寝て」
 マスターに言われて僕はベッドに横たわっていた。
「そう。自然がいいね」
 コンセプト不明の写真がマスターの専門のようだった。
「学生さん?」
「いいえ。ゆりかごよりも墓場に近いです」
「みなさんそう言いなさる」
「へー」
「でももう写真は卒業じゃ」
「そうですか」
「そう言っておる。ラグビーを始めるからの」

 信号は赤に変わり車は動き出そうとしていたけれど、渡ることは簡単だった。車体の上くらいの浮遊にそれほどの体力は必要ない。ドライバーを驚かせればブレーキを踏ませることになる。もっと余裕を持って越えるべきだが、上を行くほどに注目度も増してしまう。誰かが指をさせば瞬く間にニュースになるだろう。多くの人が渡り終えた横断歩道で、僕は少し躊躇っていた。

 少年の足を離れたスケボーが追いかけてきた。僕は浮遊して回避しようとする。するとスケボーも浮遊する。僕は後退しながら上昇する。スケボーはそれ以上の加速をつけて上昇する。赤い目が光る。「逃がさないぞ」逃げても逃げても一定の距離を取りながら追ってくる。AIの制御は恐ろしく正確だ。逃げ切ることは不可能。地上からカメラを向けるIT関連企業。ターゲットになった僕は重要なサンプルでもある。息が切れる。僕だけ息が切れる。

 見知らぬ街をたどる内に羞恥心は薄れていった。階段を下りながら浮遊した。人混みを一気に越えて着地とみせて、もう一度、飛ぶ。土地柄か、自意識の変化によるものか。あまり人々の視線を感じなくなっていた。(これくらいはここでは普通なのか)

「多いな」気がつくといつの間にか荷物が増えていた。コインロッカーを探しながら地下街をさまよう。もう5月号が売られている。昨日、古いのを買ったところだった。



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ザ・ゲーム

2020-04-01 03:45:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
破壊的ルー語のあとに優しさが
涼しく隠れみえた月曜 

(折句「春休み」短歌)
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顔で好き

2020-04-01 03:23:00 | 忘れものがかり
冒険が詰まっている

話をきかなくても
わかる

友情がこぼれている
おかしみが満ちている

顔だけみれば
みんなわかる

確信に震えながら
僕は
「少年ジャンプ」をつかむ

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