眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

映画の窓

2022-08-03 04:03:00 | ナノノベル
「眠りは絶やせぬ炎。聖火のようなものね。生き物はみんな眠るために生きている。そうとも考えられるわ。夜を越えて明日へ渡る。最も身近な約束ね。眠りは素晴らしい。夢も素晴らしい。生きるということは睡魔とつきあい続けること。あなたそう思わない? 睡魔と闘っている人もいるわ。私の敵は睡魔を浚っていく者の方よ。敵も色々ね。いるべきもの、いるはずのものを浚っていくなんて。その正体はまだこの世の科学では解明されていないのね。難しい本も随分読んでみたけれど、慣れてしまったのか私には効かないみたい。だから私はあちこち探しているの。行き当たりばったりね。中には寝る暇が惜しいなんて人もいるという話だけど、私からすれば何か新しい次元のように感じられるわね。そういう人は起きている間に夢を見ているの。夢と現が曖昧になって行くの。素敵な人生じゃない。あなたもそう思うでしょ」

「まもなく上映になりますけど、どうされますか」

「大人1枚。ここでなら上手くいくかも」

「面白すぎて眠れないかも……」

「本当?」

「個人の感想ですけど」

「ふふっ。それならそれで来た甲斐もあるというものだわ」

「ごゆっくりどうぞ」

コメント
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