眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

監督は不届き者

2020-07-22 09:01:00 | ナノノベル
 3日前には「全く考えていない」と言っていた。だから、俺は安心し切っていた。センター・フォワードとしての起用は約束されていたはずだったからだ。
 信頼は結果的には裏切られた。前日になって突然、考え始めたとでも言うのだろうか。俺は落選を通告された。ベンチどころか完全にメンバー外(構想外)となったのである。

(もっと指導者をみる目を養わなければならない)

 考えてみれば、監督の言葉はいつも芝居がかっているだけだった。
 躊躇なく……、速やかに……、一切の……、完全に……、全く……。それらはみんな実体がない。むしろ逆さまであることさえあった。
 俺が今できることは家にこもって、いつ終わるともわからない海外ドラマをみながらピザを食べることくらいだ。

 もうすぐキックオフの笛が鳴る。
 俺のいない遠い街のあちらこちらで。


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